りゅうちぇるさんの報道にあった「いのち電話」の意味とは マスコミと自殺の関係性

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窓口によって対応は違う

 ガイドラインの中には、やるべきことの1つとして「支援策や相談先について、正しい情報提供をすること」が盛り込まれている。実際、1994年にアメリカのロックバンド「ニルヴァーナ」のメンバーであるカート・コバーンが自殺したとき、報道の仕方を工夫したことによって、自殺を考えている者から援助を求める電話が増加したという報告があるという。

 日本における代表的な電話相談窓口である「いのちの電話」には、2022年には全国でおよそ54万件の電話相談があり、その内、自殺傾向があったものは6万8000件超に上る。

「『いのちの電話』は、1953年にイギリス国教会の牧師チャド・バラーによって始められた活動が元になっており、日本では1971年にボランティアによる電話での相談活動がスタートしました。キリスト教に基づく、『ビフレンディング(befriending)』という理念を持ち、人間としての共感と深い心の交わりによって、自殺を予防するという考え方のもとに相談活動を行っています。そのため、傾聴を基本にしています。その他の相談窓口では、その人が抱えている問題を明らかにしていくことを目的として話を聞いていくところもありますし、運営主体によって、相談したときの対応は異なります」

 どの窓口に相談すればよいのだろうか。

「どんな相談の乗り方が自殺予防に効果的かということは一概には言えません。自分に合ったところを見つけるのが一番ですが、死にたいという気持ちが高まったときは比較する余裕がないということもよく分かります。難しいことは承知していますが、できれば、自分が『死にたい』気持ちに圧倒されてしまうような状態になる可能性があると分かっているのであれば、そのような状態になる前に、自分が追い込まれた時に何をするかということについての簡単な行動計画(例:〇〇に電話をかける など)を事前にたてておき、できれば身近な人にも共有できると良いと思います。とても難しいことではありますが」

「目が覚めると28時間経っていた」異例の“自殺コミック”を監修した専門家が明かす「NG描写」】へつづく

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