ついに始まる「新NISA」活用法 経済アナリストが「リスクを取った方が“非課税枠”のメリットは大きい」と説く“合理的”な理由

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いつでも引き出せるように

 そして、「いつでも売却ができるようになった」という点も大きいといえます。従来のNISAでは、一度購入した商品を売却してしまうと、非課税枠はそれで終了。「一度つみたてた分は期限が来るまで引き出さないのが鉄則」なんて言われることも多かったわけですが、それが「新NISA」では、一度売却してしまっても、また翌年には非課税枠が復活するようになったのです。簡単に言うと、「預けたお金はいつでも引き出せる」ようになったということですね。

 ですから、これまでNISAにためらいを持っていた方にとっては、そのハードルが下がったと言えるのではないでしょうか。

 ただ、投資上限額が上がったからといって、別に投資金額を大きくしないといけないわけでもなければ、上限を使い切らないといけないわけでもありません。よく、「政府が推奨している制度だから、なんだかんだ安全で儲かるんでしょう」と認識されている方がいらっしゃいますが、あくまでも将来の損益は不確実であり、自己責任のもとで投資をしなければならないということを忘れてはいけません。

“最大公約数”はやはり……

 では、実際にどうやってNISAを活用していくべきなのか。もっと言うと、「何に投資したらいいの?」という話ですが、こればかりは、万人に共通する答えはなく、目的や資産状況などによって変わってきますから、「人それぞれ」としか言いようがありません。ですが、例えば、まだ投資の経験が浅い方の場合は、基本的にはインデックス型の投資信託(ファンド)でつみたて投資を行っていくのが良いのではないかと思います。いわゆるインデックスファンドとは、その市場の値動きを示す指数(インデックス)に連動するような値動きを目指す投資信託です。例えば、日経平均のインデックスに連動した投資信託を買うのなら、長期的に見て、日経平均株価が上がるのかどうかを考えて判断するということになりますから、比較的わかりやすい。その上、特定の一社の株を購入するのとは異なり、自動的に複数社に分散投資がされることになるので、リスクもおさえられるというものです。

 その中でも特に、全世界の株式、または米国株式に連動したインデックス投信は、多くのファイナンシャルプランナーさんがオススメされているように、“最大公約数”といえるものです。全世界の株価指数に連動したインデックスファンドであれば、文字通り世界中にリスク分散がされることになりますから、仮にどこかの国で急な株価の下落が発生したとしても、さほど大きなダメージにはならないというわけです。日本単独だと不安は大きいですが、世界経済全体で考えれば今後も成長していくことが期待されるため、株価指数が上下に変動することはあれど、長期的には値上がりしていく可能性が高いと考えられているということですね。

 米国株式についても、GoogleやAmazonなどの巨大グローバル企業を中心に、やはり長期的に見れば順調な株価上昇を続けていますから、全世界株式よりも大きなリターンを期待して購入する方が多い。ただ実際は、米国企業も、国外での売り上げが大きくなっている現状を考えると、広く世界に投資しているという考え方もできます。逆に、全世界株式のインデックスファンドも、そのうちの6割くらいは米国株が占めていますから、実は両者にそれほど大きな違いがあるわけではないということは申し添えておきます。

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