中田翔(34)「リーダー懐柔」で“生涯中日”は波乱含み 大野雄、柳…“FA流出ドミノ”と紙一重のワケ

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渡り鳥の処世術

 プロ野球巨人との2025年までの3年契約を途中破棄していた中田翔内野手(34)の中日入団が発表された。巨人の来季構想では一塁のレギュラーではなかったため出場機会を求め、契約を途中で破棄した。これが日本ハムを含めプロ3球団目の所属となる。

 広島で生まれ育ち、大阪桐蔭高に進学した。立浪和義監督(54)とは13年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)でコーチと選手の間柄だったが、名古屋には縁もゆかりもない。さしもの“大将”も処世術を駆使するしかなかったようで、入団が決まると早速、選手会長を務める柳裕也投手(29)と接触を図った。会食ではすっかり意気投合したようだが、チーム事情を踏まえると、こうした良好な関係も波乱含みなのだという。

 中田は12月6日、名古屋市内のホテルで立浪監督が隣席する中で入団記者会見を行った。中日から誘われたことを「何か自分の中で火が付くようなものもありました」と述懐。その上で「このチームでやりたいと素直に思えた」とチーム愛を強調した。

 さらに中日の印象については、こう語った。「若い選手が多くてパワフルな打者も多い。一番は投手陣がすごくいいなという印象」。通算303本塁打で豪快さが持ち味の打撃とは対照的に、全ての関係者の立場に配慮したような優等生発言は実に、繊細だった。

 柳と食事を共にしたのは会見前夜だ。店内で柳が中田の肩を組んでいる写真を、互いのインスタグラムに載せていた。

「中田はダテに複数球団を渡り歩いてきていないですよ。巨人に移籍したときには坂本(勇人)にそうしたように、チームの誰を押さえれば、すんなりと馴染んでいけるかを分かっています」

 古参の球団スタッフはこうみた上で、さらに指摘を加える。

「柳が中田の肩に手を回していたインスタの写真も、よく考えられているなと感心しました。本当なら年下が年上にする行為ではありませんが、あれで中田の強面の印象が和らいでいました。特にうちの若手は、本当に中田が来るかどうかをわれわれやOBに情報収集するほど気にしていましたが、投手陣のリーダーである柳と早い段階で共闘する姿勢を示したことで、警戒心は解けたことでしょう。中田のしたたかさを感じましたね」

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