ガサ入れで捜査が本格化「ビッグモーター」“ジュニア”の素顔 恐怖の「土下座事件」と口癖だった「俺、ハーバード大卒なんだ」

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 12月15日、警視庁と神奈川県警は中古車販売大手「ビッグモーター」創業者で前社長・兼重宏行氏(72)の長男である宏一氏(35)の自宅などを家宅捜索した。突如、捜査線上に浮上した「ロイヤルファミリーの将軍様」と呼ばれた男のいまだ報じられていない“素顔”に迫る。

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 捜査の背景を全国紙社会部記者がこう話す。

「警視庁などは宏一氏の都内にある自宅のほか、トランクルームなど関係先数カ所を捜索し、パソコンや携帯電話などを押収しました。ビッグモーターの各店舗前の街路樹が除草剤を撒かれ“枯死”した件につき、『本社からの指示』があったか否かを解明するのがガサの目的です。すでに9月に同じ嫌疑で都内・六本木ヒルズにあった本社(当時)も捜索しており、街路樹問題を“組織的な違法行為”として立件する意欲を見せています」

 ただし、肝心の宏一氏の所在については「不明」とされ、「創業の地で旧宅のあった山口県や、留学先だったアメリカに滞在しているなどの情報が浮上」(同)しているという。

 宏一氏が父の宏行氏とともに、自動車保険の保険金不正請求問題を受けて辞任したのは7月26日。いまになって警視庁が、副社長だった宏一氏の関係先を捜索したのには次のような理由があるという。

「2019年前後から、父・宏行氏は経営の一線から徐々に退き、実質的に宏一氏がビッグモーターのかじ取りを担うようになったというのが警視庁の認識です。また街路樹の枯死や伐採問題の背景に挙げられる『環境整備点検』という名の同社独自のシステムを陣頭に立って運用・指揮していたのも宏一氏とされます」(同)

撮った写真をLINEに上げられ…

 ビッグモーター関係者が補足する。

「3~4年前から宏行前社長は半年に1回行われる(成績優秀者に対する)表彰式以外では、社内で姿を見る機会も減り、代わって『次期社長』と目された“ジュニア(宏一氏)”の存在感が大きくなった。と同時に、会社の雰囲気も少しずつ変わっていったように感じます」

 その変化を象徴する一つが、前述の「環境整備点検」と呼ばれる、経営幹部による店舗巡回(視察)だったという。

「“ジュニア”がヴェルファイアで各店舗に側近とともに乗り付け、店長や工場長を引き連れて、従業員の身だしなみから整理整頓の様子、さらに店舗内外にゴミが落ちていないかなど清掃状況まで細かくチェックしていく恒例の行事のことです。巡回中、“ジュニア”は常にスマホを手にして写真をパシャパシャと撮り、それを他地域の店舗もメンバーに入るグループLINEに上げることも珍しくなかった。そのため巡回対象でない店舗関係者も、デスクの一角や部屋の隅の写真が上がるたび『そんなところまで見ているんだ』と驚き、“今度、ジュニアが来た時には……”と戦々恐々としていました」(同)

 そして数年前には、こんな“事件”が起きたという。

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