中日・ドラ2「津田啓史」の獲得を立浪監督に進言した松坂大輔の元女房役 数字に表れないセンスを評価
這い上がる選手こそ強い
この「職責を全うするタイプ」といえば、津田がまさにそうだ。だからこそ、小山スカウトも強く推薦したと言われる。津田は去る11月29日の入団交渉後の会見でこう語っていた。
「這い上がる自信と経験はあります」
横浜高校、三菱重工Eastと“名門エリート街道”を歩んできたが、これまで「一番」になったことがない。小学校時代の野球チームでは卒業するまで背番号はずっと2ケタだった。横浜高校でも、同級生にドラフト1位指名された度会や巨人の育成選手・木下幹也(21)らがいた。今季の社会人公式戦では3番に入った試合もあったが、1番や2番のチャンスメイク役のほうが多かった。
「三菱重工Eastでもスンナリとレギュラーになれたわけではありません。スタメンで名前が続けて出るようになったのは去年のシーズン終盤から」(前出・社会人チーム指導者)
50m走のタイムは5秒9、遠投120mの強肩でもある。社会人チームの出身というと、即戦力をイメージしがちだが、津田はまだまだ伸びしろがある。こんな情報も聞かれた。
「立浪監督は、補強面でも全て自分がチェックしないと気が済まないタイプです。責任感の強さゆえですが、スカウトからすればずっと追いかけてきた選手を挙げても、却下されることもあり、直接と話がしにくい雰囲気になる場合もあります。小山スカウトは『強く推薦した』と言っていましたが、チームの将来に必要な選手だと思い、立浪監督に強く推薦したんだと思います」(名古屋在住記者)
津田は主にショートを守ってきたが、サードやセカンドの守備でも安定したフィールディングを見せてきた。二遊間には昨年のドラフト会議で指名された村松開人(22)、田中幹也(23)、福永裕基(27)もいる。内野の選手層が一気に厚くなった。三塁を守っていた石川昂弥(22)に一塁兼務案も囁かれる。一塁には中田翔(34)、ビシエド(34)もいる。しかし、巨人時代の中田はポジションが重なる秋広優人(21)に守備練習中もアドバイスを送ってきた。将来の主砲・石川と中田を接近させ、成長を加速させたいとの考えも立浪監督にはあるようだ。
「小山スカウトは、見た目は現役時代と変わりません。いろいろな試合を各地で直接、見て回っていて、よく日焼けしていますからね」(前出・同)
津田獲得を強く進言したのは、熱心な調査の裏づけもあったからである。立浪監督は中田獲得の折、「(打線の)軸ができた」と言った。その軸を活かすチャンスメーカーを、職責を全うするスカウトが見つけてくれた。最下位脱出の布陣は整いつつある。