中日・ドラ2「津田啓史」の獲得を立浪監督に進言した松坂大輔の元女房役 数字に表れないセンスを評価

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WBC決勝で起きた「ヨシオ」コール

 特に松坂氏とバッテリーを組んだ、98年夏の甲子園大会でのPL学園戦は「伝説の好ゲーム」として語り継がれている。

「この試合が好ゲームと称されるようになった“立役者”の一人が小山氏です。先に失点したのは横浜高校でした。PL学園の三塁コーチャーボックスにいた平石洋介(43=現西武コーチ)が、松坂氏がある球種を投げるときは必ず腰を落とすという、小山氏のクセを見抜いたんです。松坂氏は自身の投球フォームにクセがあるのかと、疑心暗鬼になるのですが、途中で小山氏が原因は自分にあることに気付き、今度はそれを逆手に取ってPL打線を抑えました」(アマチュア野球担当記者)

 劣勢でも冷静さを失わなかった小山氏の観察眼が松坂氏を「怪物」と呼ばせるまでに押し上げたのだ。

 一般的に、キャッチャーには2種類のタイプがあるという。

 配球の組み立てに長け、かつ強いリーダーシップを発揮できるキャッチャーは「オレについて来い」のリードで、投手とチームを牽引していく。また、「次に投げたい球種はコレだろ?」と、投手の気持ちを先読みし、ノセていくタイプもいる。「投手と捕手の力関係」にもよるが、小山氏はそのどちらのタイプでもないという。相手に寄り添い、その相手とチームが向上する選択を取るのだそうだ。

「松坂氏も参加した09年の第2回WBCで、小山氏はブルペン捕手としてチームに参加しています。登板に向けて準備をするタイミングや投球練習量は、各チームから選出された投手によって異なります。小山氏は各投手が準備を始めるタイミングを短期間で把握し、代表チームを支えていました。大会中、投手の球を受け続けた彼の姿に感銘し、決勝戦後のシャンパンファイトで、全選手から『ヨシオコール』が湧き上がり、胴上げされたシーンが思い出されます」(ベテラン記者)

 自身に与えられた職責を全うし、良い意味で自己主張しないタイプなのだろう。

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