中日・ドラ2「津田啓史」の獲得を立浪監督に進言した松坂大輔の元女房役 数字に表れないセンスを評価
数字には表れない野球センスを見抜く
立浪竜の最下位脱出のカギを握るのは、松坂大輔氏(43)の“元女房役”――。
中日ドラゴンズで関東地区を担当する小山良男スカウト(43)は、立浪和義監督(54)に進言できる数少ないブレーンの一人である。その小山スカウトが先のドラフト会議で「強く推薦させてもらった」と語っていたのが、2位指名の内野手・津田啓史(21=三菱重工East)だ。立浪監督もそこまで推すのであればと、指名を決めた。
【写真】入団発表の会場ドラフト同期と共に(中日ドラゴンズの公式Instagramより)
「今秋のドラフト会議で、社会人野球で最も注目を集めた選手は、度会隆輝(21=DeNA、1位)でした。でも、JABA(日本野球連盟)大会や都市対抗の関係者たちは『右(打者)の津田、左(打者)の度会』と言い、高く評価していました」(在京球団スタッフ)
度会は22年都市対抗で打率4割2分9厘、本塁打4、打点11と活躍し、橋戸賞(MVP)、打撃賞、若獅子賞(新人王)を同時受賞した。ドラフト会議と時期の重なった全日本選手権でも本塁打を放っている。それに対し、津田は全日本選手権での打率は2割ちょうど。数字上では大きな差のある2人が「社会人スラッガーの双璧」と言われるのは興味深い。
「社会人野球の主要な大会はトーナメント形式です。一戦必勝となるので、基本的に『進塁打』を意識したバッティングになります。自分はアウトになってもいいから、走者を進めようとし、右方向に転がそうとします。意識してアウトになった打球の質感、転がした方向、ゲーム展開を読んだバッティングができるのが津田なんです。来年の新人王争いにも名前が出てくると思います」(社会人チーム指導者)
数字には表れない津田の野球センスを小山スカウトが見抜いたわけだ。そんな千里眼を持った小山スカウトは、元捕手。横浜高校、亜細亜大学、社会人・JR東日本を経て、04年のドラフト会議で中日から8位指名されてプロ入りした。横浜高校では松坂大輔氏と、大学時代には巨人、日本ハムで活躍した木佐貫洋氏、元広島クローザーの永川勝浩氏とバッテリーを組んできた。
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