安倍昭恵さんが夫の政治資金「3・4億円」を非課税で”相続” 庶民の怒りに専門家は「法改正は極めて難しい」

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 11月25日、毎日新聞(電子版)は「政治資金 昭恵氏継承団体に1・8億円 安倍元首相死後、関係5団体から」との記事を配信した。広島市に本社を置き、山口、岡山、島根などの各県で販売されているブロック紙・中国新聞も同じ日に同じ内容の記事を朝刊に掲載した。

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 資金の流れが複雑なので、記事の内容を箇条書きで説明する。

【1】
2022年7月8日、安倍晋三元首相が奈良県で銃撃され死亡。

【2】
同日付で安倍氏の政治団体「晋和会」と政党支部「自民党山口県第4選挙区支部」の代表に妻の昭恵氏が就任。

【3】
7月27日から晋和会への資金移動が始まる。第4選挙区支部の1億3731万円、後援団体「東京政経研究会」の5000万円、他3団体の36万円が晋和会に寄付。総額は1億8767万円に達した。

【3】
23年1月、第4選挙区支部が解散。支部には毎年、党本部経由で1000万円以上の政党交付金が支給されていた。22年当初には2379万円の残金があり、政党支部が解散する際は残金を国庫に返す必要があった。だが支部は人件費を増やしたり事務所費に充てたりして解散前の22年中に使い切っていた。

【4】
晋和会の22年の収入総額は、関連団体からの資金移動に加え、安倍氏が生前に開いた政治資金パーティーの収入など3億1609万円。支出では人件費に1億2662万円が計上され、例年の2~5倍。人件費の内訳は記載義務がないため、毎日新聞は詳細を確認できなかった。22年末時点で晋和会には1億3587万円の繰越残高がある。

昭恵さんの問題点

 ちなみに7月3日、日本共産党の機関紙・しんぶん赤旗(電子版)も「安倍元首相事件当日に資金管理団体解除 “私人”昭恵氏、残金を継承」との記事を配信した。

 さらに、12月8日の参議院予算委員会で質問に立った立憲民主党の蓮舫氏が、昭恵氏の非課税相続はパーティー券の収入や繰越金を含めると約3億4000万円に達すると指摘した。

 あまりに怪しく、問題が多すぎる“相続”──という印象を持った方は多いのではないか。担当記者が言う。

「他の主要メディアも詳報を行ったことから、昭恵さんに対する批判の声は相当なものです。結果、2つの論点が浮上しました。1つは『安倍晋三氏の政治的“遺産”を、政治家ではない昭恵さんが非課税で相続する問題』です。毎日新聞によると、晋和会の所在地は議員会館から昭恵さんの自宅に移され、『国会議員の資金管理団体』から『その他の政治団体』に変更されたそうです。一応は法律に則って修正しているわけですが、『なぜ国会議員でもない昭恵さんが、巨額の政治資金を非課税で相続することができるのか』と納得できない有権者も多いようです」

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