5千万円以上の金を受け取った議員も… 自民党裏金騒動で何人の議員が立件される?
キックバック中止の通達
ただし、全期間でキックバックが行われていたわけではないようで、
「派閥からキックバックの中止が通達されたのは2回です。前回、22年5月に行われたパーティーでは“ノルマ以上に売るな”との指示がありました。直近、今年5月に行われたパーティーでは、“ノルマ以上に売るな”に加えて、“振り込みは購入者から直接派閥口座に”というお達しがありました」(清和会に所属する国会議員のベテラン秘書)
つまり5年間でキックバックが行われたパーティーは、18年5月、19年5月の下村事務総長時代と、20年9月の松野時代、それから21年12月の西村時代の4回ということだ。
「キックバックや不記載について、事務総長が事務局長から“聞いていた”というだけでは共謀共同正犯には問えないと思います」
元東京地検検事の落合洋司弁護士はそう語る。
「ノルマ額やキックバックについて事務総長が事務局長に逐一指示していた、ということなら共同正犯に問える可能性も出てきます。あと、事務総長自身がキックバックを受けていたかどうかもポイント。自身も受けていた場合、キックバック分を不記載にすることを“知らなかった”と言い逃れるのは難しくなります」
立件候補の3議員
では、「裏金の金額の多寡」による“線引き”についてはどうか。ここで参考になるのは、自らのパーティー券(以下、パー券)の収入を収支報告書に4千万円以上過少記載していたことが発覚、昨年12月に辞職した自民党の薗浦健太郎前代議士の事件。彼は略式起訴され、罰金100万円、公民権停止3年の略式命令を受けた。
「今回のケースでは、裏金の額が1千万円を超えた程度では略式起訴で罰金にすることさえもできないでしょう」
と、元東京地検特捜部副部長の若狭勝弁護士は言う。
「薗浦前議員の事件でパー券収入の不記載額が約4千万円ですから、それくらいはいかないと略式起訴・罰金刑にはできないはずです。この基準に照らすと、朝日の記事でやり玉に挙げられていた大野、池田、谷川の3議員は立件される可能性があります。ただ、それだけでは特捜部は評価されない。そこで派閥の収支報告書の億単位の不記載について、派閥側の会計責任者との共謀で、事務総長経験者ら大物政治家を検挙することが考えられます」
ただし、それ以外の「裏金議員」も、
「おとがめなしというわけにはいかないでしょう。考えられる手は二つあります。一つは各議員の資金管理団体の会計責任者を立件する方法。もう一つは、キックバック分が私的に使われたことを証明して『雑所得』と認定。その分の税金を修正申告して支払わせる、という手法です」(前出・全国紙社会部デスク)
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