「愛人に使ってもばれない」「選挙で“実弾”をまいている」 裏金の使い道を現役秘書が明かす
「みっちり3時間しぼられた」
議員からの指示があったのかどうかを問う質問も繰り返されたという。
「“チケットを売るのに先生の指示はあったのか?”といったことは何回も聞かれました。ただ、ウチは代々、私設秘書を含め大勢の秘書たちがチケットをさばいていたので、“先生の指示はない”と答えました。聴取はその日の1回で終わらず、数日後に2回目の聴取日程が設定されました」
別の男性秘書も同時期、やはりニューオータニで事情聴取を受けたという。
「みっちり3時間、取り調べでしぼられました……」
と、その秘書は嘆息する。
「派閥からキックバックされたパー券代金について、“受け取った後どうしたのか?”と聞かれて、“覚えていない”と答えてしまったんですよ。あのお金は自由に使える裏金なので正直、ありがたかった。だからこそ、すぐに使ってしまい、使途を覚えていないのです。そう話した時の検事さんの反応は、すごく険しかったですね……」(同)
安倍派の不記載額が突出
今や連日新聞・テレビをにぎわせ、特に清和会が“大炎上”している「自民党派閥パーティー裏金疑惑」。しかしその“火種”はごく小さなものだった。
〈自民5派閥 過少記載疑い 告発状提出 パーティー収入4000万円〉
そんな見出しの記事が読売新聞の片隅に掲載されたのは、11月2日のこと。
神戸学院大の上脇博之教授が東京地検に告発状を提出したことを伝える、短い記事である。上脇氏が問題視したのは、自民党の主要派閥である清和会、平成研究会(茂木派)、志公会(麻生派)、宏池会(岸田派)、志帥会(二階派)が毎年、派として行っている政治資金パーティーについて。政治資金規正法では、20万円を超えるパー券を購入した個人や団体の名前、金額を政治資金収支報告書に記載するよう義務付けている。しかし、20万円超購入した政治団体の名前や金額が記載されていないケースが多々ある――最初にそう報じたのは「しんぶん赤旗」であった。
その記事をきっかけに上脇氏が、公開されている2018年から21年の収支報告書を独自調査したところ、不記載の総額は5派閥で3942万円に上ることが判明。さらに、各派の内訳を見ると、安倍派が1946万円、二階派が754万円、茂木派が620万円、麻生派が410万円、岸田派が212万円と、安倍派が突出していたのだ。
「派閥のパー券は所属議員にそれぞれノルマが課せられています。清和会の場合、1回生は60万円。閣僚経験者は400万円で、最高額は750万円です」(清和会関係者)
[2/4ページ]