「生徒さんを金儲けの手段と見なしている」 宝塚親会社トップの素顔を弁護士の兄が明かす
自身はノータッチだと主張
恐妻家の角会長は、劇団トップスターの人事にも口を出す夫人を止められない──。そんな見方をあらためて否定しながらも夫人は、
「ある組のトップスターが、(14年に)歌劇団が100周年を迎える直前に卒業することになっていました。ところが彼女は『100周年の記念式典はトップのまま迎えたい』と、私たちの家まで来て泣きついたのです。聞けば次期トップは他の組から来た人で、節目の前にチェンジとなれば『下級生の反発を抑えられない。スムーズに交替できるか心配だ』と打ち明けました。そこで歌劇団と話して卒業時期を遅らせ、丸く収めたことがありましたが、それも夫が働きかけたことです」
あくまで自身はノータッチだと主張するのだ。その一方、遺族側の「トップが謝罪すべきだ」との批判には、
「夫はグループのトップであり、部門ごとに責任者がいます。これから外部委員会の検証もありますから、まだ表に出てきて何か言う段階ではないということではないでしょうか」
そう心中を推し量るのだが、株式会社リスク・ヘッジ取締役の田中辰巳氏は、
「これまでの阪急阪神HD側の対応はいずれも危機管理ではなく、絶えず火に油を注いでいる、いわば『危機喚起』という印象を抱かざるを得ません」
と指摘する。
「13年10月、系列の阪急阪神ホテルズで、トビウオの卵をレッドキャビアとして提供するなどの食品偽装が発覚しました。角氏は当時、親会社の社長を務めていましたが、会見は子会社の社長らが行い、『従業員の知識不足だった』と、過ちを認めるどころか責任を下へ押し付けるなど、あり得ない対応でした」
「逃げるタイプの人間」
先月14日の会見でも、村上専務理事(当時)が遺族側に対し「証拠を見せていただきたい」と言い放つなど、
「企業の姿勢が変わっていないことは明白です。そもそも残業時間が月80時間を超えて過労死や自殺があった場合、トップが遺族へ即座に謝罪し、企業として真摯な態度を見せるべきですが、阪急は戦うと言わんばかりの姿勢を見せているのだから論外です。今回も角氏は、下に責任を押し付けて逃げようとしているのではないでしょうか」(田中氏)
角会長の兄で、労働事件を専門とする弁護士の源三氏に聞くと、
「私と和夫は二つ違いですが、小さい頃から全く性格が合わず、50年近くまともに交流していません」
そう明かしながら、
「和夫はまずパワハラを認め、ご遺族に謝罪して辞任すべきなのに、いずれも実行していない。人間性というのは極端な状況でこそあらわになりますが、彼は逃げるタイプの人間。高校時代も勉強から逃げてエレキにはまっていたし、ちっとも変わっていません。元はといえば、そんな人間をトップに据えた阪急がおかしい。宝塚の生徒さんらを単なる金儲けの手段と見なし、人としての権利を認めていない。それで伝統を口実に隠蔽(いんぺい)へと走っているのです」
さらに、こう提言するのだ。
「宝塚はもう阪急と手を切り、劇団四季のように独立採算制にしていけばいいと思います。私は使用者側の弁護士で、過労死を専門とする労働者側の川人弁護士とは正反対の立場ですが、今回は手弁当でお手伝いしたいくらいの気持ちです」
総帥の尻には、すでに火がつき始めているのだ。
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