【パー券裏金問題】二階派にも強制捜査 関係者が語る「パー券、超高額ノルマの実態」

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 政界を大きく揺るがしている「派閥パー券裏金問題」で、ついに当局による強制捜査が始まった。19日、東京地検特捜部はこれまで5億円にも上る裏金作りを報じられてきた安倍派だけではなく、二階派への本格捜査に乗り出したのだ。

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過去5年で1億円を超える

 まずは今回のパー券問題のスキームを、

「安倍派に関しては過去5年で5億円に上る裏金があったとされています」

 と、社会部記者が解説する。

「安倍派ではパーティー収入分のうち、各議員のノルマを超えた分に関しては議員側に派閥からキックバックしていました。この際、派閥の政治資金収支報告書には、ノルマ超過分について、収入も支出も記載せず、さらに議員の報告書の収入にも記載しなかった。つまり、どの報告書にも記載しないという完全に“裏金”だった。これを当局は悪質だと見ているのです」

 かたや、二階派は少々手法が異なるという。

「二階派の場合、ノルマ超過分を含めたパーティー収入を派閥が把握した後、その一部を報告書に記載せず、派閥の裏金にしていました。記載しなかった裏金は過去5年で1億円を超えています。一方、ノルマ超過分を議員にキックバックする際には、派閥の支出の欄と議員側の収入の欄には記載していました。その点では、二階派は安倍派に比べ、悪質性が低いと見られていた。にもかかわらず、その金額の多さから強制捜査されることになったのです」

“派閥に金を戻してほしい”

 派閥としての危機感は以前からあった。

「今年に入って、ある二階派議員の事務所に派閥の事務局から連絡が来たんですが……」

 と語るのは、二階派の関係者だ。

「その際、過去数年のノルマ超過分について“地検の捜査の関係で一度議員側から派閥側に戻してほしい”という依頼があったそうです。そうしたお金はすでに使ってしまっていますから、各方面からお金をかき集めることになり、大変だったとか」

 二階派の場合、派閥のパー券について買ってくれる支援者が派閥の口座に直接入金するわけではなかった。

「りそな銀行の衆議院支店と参議院支店でパーティー用の口座を作るのが一般的だと思います。その際、口座名は冒頭に“志帥会”と入れて、議員の名前を冠したものしておきます。管理は議員事務所で行い、このケースでは派閥がこの口座を触ることはありません。そして、ノルマ分のみ、この口座から派閥の口座に入金し、残った残額が事務所で自由に使える金になる、というわけなんです」

 ただ、派閥への入金の仕方は事務所それぞれだったようで、

「資金力のある事務所はパーティーの開催が決まると、即日ノルマ分を入金して、後日、振り込まれるパー券収入は全額、事務所が自由に使えるようにしておく、というところもありました。ノルマ超過分を派閥に一度入れて、後でキックバックしてもらう事務所もあったかもしれません。ただし、二階派の場合、そもそもノルマをクリアすることが非常に困難なんです」

 一体、どういうことか。

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