なぜ「松山英樹」はパリ五輪に後ろ向きなのか 2度目の辞退という可能性も
パリ中心部のテレビ局へ
実は松山は 朝がそれほど強くなく、練習予定をその日の調子や気分で決めたい選手。日本からは男女2選手ずつが出場予定で、女子を含めた「チーム・ジャパン」での団体行動も要求される。こうした五輪の環境は彼にとって、“面倒”だという。
さらに、松山はパリ五輪の会場となるパリ近郊のル・ゴルフ・ナショナルでプレー経験がなく、そのため開幕前に多くのラウンドをこなしたいところ。しかし、アメリカに拠点を置く松山には物理的な距離やスケジュール的な問題から難しい。
もしメダルを取れば翌日早朝からパリ中心部に設けられたテレビ局の特設スタジオを訪問することにもなる。
キー局関係者が言う。
「全局に出ると、準備を含め数時間拘束されると思います。慣例なので松山選手にもお願いすることになるでしょう」
一度日本に帰国してメダリスト会見に出る必要性も出てくるだろう。スケジュールの都合もあるため強制ではないものの、五輪には国費で派遣されているため、拒否すれば「ワガママだ」という批判にさらされる可能性もある。
松山は五輪に出場した場合、こうした状況に陥ることを当然把握している。そのこともあったからなのか、出場権を持っていたリオ五輪は、ブラジルの治安や流行していたジカ熱への懸念を表明して辞退した。
「一度出れば十分」
スポーツ紙のゴルフ担当記者が松山の心中をこう代弁する。
「もともと松山さんはリオ五輪出場に乗り気じゃなかったんですよ。東京は自国開催でジュニア時代から何度もプレーしていた思い出のコースだったので特別な思いを持って出ましたが、一度出れば十分というのが本人の考えでしょう」
五輪に出場すれば日程面でもハードになる。大会2週間前には全英オープンが開催。2週後には、年間王座をかけシーズンのポイント獲得上位選手だけで争われるプレーオフシリーズ(米国各地)が3週連続で行われる。
「松山はかねて“(プレーオフシリーズ最終戦の)ツアー選手権に出ることが目標”と話しており、メジャーだけでなく上位30人だけが進める最終戦の出場に強い意欲を示しています。シーズン締めくくりの3連戦を万全な状態で迎えたい思いが強いため、どうしても五輪の優先順位は低くなってしまうんです」(同)
松山は来季、開幕戦となる1月のザ・セントリー(米ハワイ州)から米ツアー11年目のシーズンを始める。
スポーツ報知のインタビューで「9勝目、10勝目をしたい。それがメジャーを含められたら最高」と話しているように、節目の10勝をメジャーで飾ることに集中している。日本のファンにとっては残念というほかないものの、シーズンの調子によっては2度目の五輪辞退という可能性もゼロではないのである。