「プーチン」「習近平」も「キッシンジャー氏」を追悼、徹底した“現実主義”外交の功罪

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訪中は100回超え

 国際関係学研究所の所長、天川由記子氏は思い返す。

「80年、ミズーリ大学に留学中にキッシンジャーさんの講演を聞く機会に恵まれました。外交は取り引き、駆け引き、綱引きで、現実から離れてはいけないというような内容でした。質疑応答の時間にシーレーン防衛について持論を展開しながら質問したところ、21歳の小娘の意見を正面から受け止めて下さった。人を育てる教育者でもあると感じました。後で握手を求められ、外交の分野に進んではどうかと声をかけてくれました」

 氏の知られざる一面だ。コンサルティング会社を設立。講演しつつ世界を回り、政界の実力者と関係を築く。

「91年、キッシンジャー氏は中央政界に出る前のプーチンに会った。彼がかつて情報機関で働き東ドイツにいたことを知ると、“まともな人はインテリジェンスの仕事から始める。私もそうだ”と答えた。以来、信頼関係を保ちました」(春名氏)

 新しい変化への関心は失わず、自律的に動くAI兵器に警鐘を鳴らした。一方、

「柔軟な態度で接すれば、中国も現実的に相応の対応をするはずとの氏の見方は崩れています」(田久保氏)

 その中国を100歳を迎えた後の今年7月に訪問、習近平主席と会談している。訪中は100回を超えた。

 11月29日、逝去。

「晩年は提言が米国政権に採用されたかどうか。それでも世界の政権中枢と会い続けたのは、インテリジェンスの仕事が原点だからでしょう。何げない言葉や対応から情報を直接取ろうとしていたのです」(春名氏)

デイリー新潮編集部

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