プーチン大統領が「年末イベント」で見せた勝利への余裕 ロシア国内は「愛国ごますり政策」の嵐…「愛国的でないと村八分にされる空気感」

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愛国的でないと村八分にされる

 7月には性転換を禁止する法律が成立。これまでもプーチン氏はLGBTを反体制につながる自由な思想と捉えて敵対視してきたが、戦争を機に摘発対象とする方向に大きく舵を切った。11月30日には最高裁判所が「国際的なLGBT市民運動」を過激派組織に指定し、国内での活動を禁止。ロシア国民の半数以上が信仰しているロシア正教会がもともと同性愛を否定しているとはいえ、完全に欧米社会との敵対姿勢を強めている。

 ロシア情勢に詳しい専門家は、「プーチン氏を取り巻く政治家や官僚たちが同氏に気に入られようと忖度して動いている。プリゴジンの乱が鎮圧されて以降、ロシア国内でプーチン氏を脅かすような声は全く聞かれなくなった」と語る。

 前出のモスクワ在住の日本人ジャーナリストは、周囲が徐々に愛国思想に染まっていく変化を感じると話す。

「戦争が始まった初期は、若者たちの多くが戦争に反対していた。ただ反戦を口にすれば、家族や友人、職場などでも軋轢ができてしまう。弾圧によって賛同は全く広がらず徒労感に襲われる。最初は沈黙から始まり、やがて周囲に合わせた方が楽だと考え、転向してしまう人も多い。プーチンと取り巻きがが進める愛国政策は、愛国的なでないと村八分にされるという強迫観念を国民に植え付けることに成功しています」

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