中国がマレー半島に造ろうとしている巨大運河 莫大な通行料をエサにタイ領に進出か

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中国艦船による妨害行為の多発

 中国が神経を尖らすのは、マラッカ海峡だけではない。南沙諸島も同じである。

「ここにきて、政権が変わったフィリピンでは、アメリカを呼び戻す動きがあります。コラソン・アキノ政権時代に議会の反対により、アメリカ軍は撤退しましたが、かつては横須賀基地と同等以上の規模であったフィリピン海軍のスービック基地の再活性化を進めています」(前出の小森氏)

 これに対するけん制なのか、10月22日、フィリピンが南シナ海で実効支配するアユンギン礁に物資を運んでいた補給船に中国海警局の艦船が衝突。また、中国海上民兵が乗り込んだ船舶がフィリピン沿岸警備隊の巡視船に体当たりするという事件も起きた(10月23日付東京新聞)。

 アユンギン礁はパラワン諸島の西にあり1999年からフィリピン軍が駐留している。10月に入ってからの中国艦船による妨害行為の多発には、中国海軍のいら立ちが見え隠れするようだ。

4~5年で完成

 話を運河に戻そう。中国では、すでに第3空母の「福建」が進水し、近いうちに試験航海する見通しだ。

 先述の飯田氏によると、

「『福建』は8万トン級の最新式空母です。艦載機の発射装置はアメリカなどと同じ電磁式カタパルト式。技術はあらゆる手段でアメリカから盗んだといわれています。福建という名前からして、福建省を基地にするかもしれませんが、2隻目の空母『山東』は海南島を基地にしていることから、『福建』の母港は南シナ海全域をにらんだ基地になる可能性もあります」

 南シナ海をにらみ機動性のある基地が必要なら、先述のカンボジアのリアム基地も想定される。もし、中国の空母が寄港するようになれば、マレー半島に運河が欲しくなるのは自明なことだ。インド洋へ抜けるスピードが速くなるからだ。

 先述の秋田氏は、

「マレー半島の地盤は、さほど硬くはなく、両側に仕切りを作って内側を掘り、最後に海水を流し込む。中国の技術なら4~5年で完成する」

 と語る。

 もし、運河が現実のものとなれば、当事国のタイが受けるメリットはどのようなものがあるだろうか。中国資本を利用して工事を行い、完成後はスエズ、パナマ運河と同等かそれ以上の通行料を取ったとする。ちなみに、パナマ運河の年間収入は6千億円前後。

 先述の小森氏によると、

「かりに開通しても当面は赤字でしょうが、長期的には航路短縮などのメリットが考えられます」

 一般の商船も、従来のシンガポール経由より4~5日短縮できるとなれば、マレー運河経由に切り替えることが考えられる。

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