なぜ東京でだけ「内申書批判」が過熱するのか 専門家が明かす“3つの特別な事情”
関心・意欲、態度の数値化
生徒の関心・意欲・態度に対して絶対評価を下し、それを内申書に記載することになった影響は大きかったようだ。週刊誌「AERA」は1997年7月28日号に「仮面中学生うむいい子競争 心の中まで採点できるのか」の記事を掲載した。
記事中には「内申点のために髪型に気をつけている」、「生徒会活動を頑張ると内申点で評価される」、「部活は目立たぬ文化系より、運動系の方が評価が高い」などの噂に振り回される中学生の姿を伝えた。現在の報道と全く変わらない内容に驚かされる。
さらに文部科学省は2001年に指導要録の改善通知を行い、中学校における内申点は「観点別学習状況の評価」に基づく絶対評価とした。これを受け、東京都は02年4月から各教科における5段階評価を絶対評価に変更。さらに「03年春から内申書(調査書)も絶対評価に変える」と決定した。
生徒の関心・意欲・態度を数値化することで、内申書の客観性が疑われるようになった。保護者と生徒の動揺は──それを煽る言説がSNSに流布していることもあり──少なくとも東京に限れば、当分の間は続くのかもしれない。
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