「韓国消滅」と慌てふためく韓国人…急激に落ちる出生率は“世界ワースト1” 日本への「上から目線」は続くのか

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25年ぶりの日韓逆転

――少子高齢化は韓国経済にどう影響しますか?

鈴置:生産年齢人口(15-64歳の人口)の減少による経済規模の縮み、伸び悩みが発生します。財政面では高齢者の医療負担の増大を少ない納税者で支えることになるため、国民の租税負担が増します。これも経済活力の喪失を呼びます。日本で起きている問題に韓国も約20年遅れで直面するわけです。

「20年遅れ」というのは日本の生産年齢人口のピークが1995年だったのに対し、韓国が2019年。日本の総人口のピークが2008年だったのに対し、韓国が2020年。人口統計上、12―24年の時差があるからです。

――少子化を踏まえた長期の経済予測はありませんか?

鈴置:あります。先ほど引用した韓国銀行の研究報告書は「手を打たねば、2050年代にマイナス成長に陥る可能性が68%ある」と予測しています。

 ただ、韓国の出生率の落ち方はすざましく、長期予測に関してはあまり信を置けないのです。韓銀のこの研究にせよ、すでに大きく外したことが判明した統計庁の2021年時点での推計値をベースにしているのですから。

 韓国の失敗は、人口面で日本の後ろを着実にたどっているというのに、少子高齢化という苦い現実に目を向けるのが遅れたことです。ようやく今年になって、成長の限界に達した、という「韓国ピーク論」が新聞で語られるようになりました。

――NYTの「韓国消滅」記事の影響ですか?

鈴置:それもありますが、今年の実質GDP成長率が日本を下回る可能性が出てきたことがきっかけでした。IMFの見通しでは2023年の日本の成長率は2・0%。一方、韓国は1・4%。もし、これが実現すればIMF危機当時の1998年以来の25年ぶりの日韓逆転です。

 もっとも、12月8日発表の日本の7-9月の実質GDP成長率(改定値)は前期比0・7%減、年換算で2・9%減と予想以上に落ち込みましたので、本当に「日韓逆転」が起きるかは分かりません。

 でも、21世紀に入って以降20年間も「衰退する日本」と「上げ潮の韓国」という視点でハイタッチし合っていた韓国人からすれば、成長率で日本を下回る可能性が出ただけで大ショックなのです。

 当初は「日本並みのダメな国になるのか」との懸念が語られていましたが「日本並みで留まるのなら、まだいい」との論調が出てきました。中央日報・キム・ギョンヒ記者の「低成長よりも恐ろしいこと=韓国」(12月14日、日本語版)です。

・日本式長期低成長の沼に落ちるのではないかという懸念は、今年韓国経済を貫く主要トピックになった。
・そのうえ経済の負担になる少子高齢化は日本よりもはるかに速いスピードで進行している。
・日本の後についていくことが問題ではなく、日本と同じようになるだけでもまだ幸いだという言葉まで出てくるのはそのためだ。

「下から目線」が「上から目線」に

――「日本程度のダメさ加減なら、まだまし」ですか……。

鈴置:2010年以降、韓国では「日本を超えた」との言説が定番になりました。『米韓同盟消滅』の126-127ページに図表「『韓国が日本より上』と韓国人が信じる理由」を掲げてあります。

 韓国紙の報道から拾ったもので、「経済」では(1)日本が中国にGDPで抜かれ世界3位に落ちる半面、韓国は世界10位圏に入った(2)半導体、テレビ、携帯電話で日本のシェアを奪い韓国が世界1位になった(3)現代自動車の販売台数がホンダを抜き、世界4位になった(2022年に世界3位に)――などが具体的な「証拠」です。

 これ以外に「外交」「政治制度」「スポーツ」といった分野でも「韓国が日本よりも上である理由」を韓国人は語り合って来ました。「下から目線」で見ていた日本を「上から目線」で見る時代に突入したのです。

 新型コロナ対策でも韓国人は「日本に勝った」と誇りました。わざわざ日本語のSNSを使って「日本よりも素早いコロナ対策」「K防疫は世界一」などと日本人に威張る韓国人も登場しました。もっとも現在、K防疫を誇る人はいません。

 2020年の日本の超過死亡数が前年比0・7%減だったのに対し、韓国では2・98%も増えたのです。要はコロナで死亡した人も、他の既往症で死んだことにし「K防疫はすごいぞ」「日本はダメだ」と誇っていたにすぎません。

 韓国のコロナ狂想曲に関しては『韓国民主政治の自壊』の第1章「コロナが暴いた韓国の素顔」で詳述しています。

 韓国人がそっくりかえる様をニヤニヤ笑いながら眺める日本人も多いのですが、甘く見るのは危険です。自衛隊機に対するレーダー照射事件(2018年12月20日)も、「韓国が上だ」という意識を背景に発生したのです。

 いわゆる徴用工裁判や慰安婦裁判で、両国間の合意を真っ向から否定する判決が出るのも同じことです。日本との約束をひっくり返してこそ、「韓国は上、日本は下」と自分も実感できるし、日本にも思い知らせることができる――と考えているのです。

 日本に「植民地支配は不当だった」と認めさせるための罠でもありますが、感情的な優位性を確保する目的もあることを見落としてはいけません。

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