「韓国消滅」と慌てふためく韓国人…急激に落ちる出生率は“世界ワースト1” 日本への「上から目線」は続くのか

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底なし沼の出生率

――それにしても、黒死病まで引き合いに出すとは…。

鈴置:韓国の出生率が異様に落ち込んだからでしょう。2021年の韓国の出生率は0・81で、OECD(経済協力開発機構)加盟の38カ国の中で最も低い。世界の217カ国・地域の中でも香港の0・77に次いで2番目の低さです。

 それに加え、出生率の低下が急ピッチなことも悪材料です。ちなみに、2022年の出生率は0・78。統計庁が12月14日に発表した「将来人口推計:2022-2072年」の中位推計によると、2023年は0・72、2024年は0・68、2025年には0・65まで落ち込みます。ワースト「世界1」の香港を抜く勢いです。

 中央日報の「韓国、今年1-9月に生まれた赤ちゃん17万7000人に…歴代最低」(12月8日、日本語版)を要約します。

・年末になるほど出生児が減少する傾向を考えると、2023年10―12月期には出生率が史上初めて0・6台に落ちる可能性がある。
・2016年の推計当時は、出生率が2016年の1・18で底を打った後、1・38に上昇すると統計庁は展望していた。
・3年後の2019年の推計では2021年の0・86が底で、その後1・27まで上昇すると予想した。その2年後の2021年推計では底が2024年の0・70に変わった。

 予測するごとに将来の出生率を下方修正せざるを得ない。つまり、いつまでたっても底に足がつかない。底なし沼に足を踏み入れた恐怖です。グラフ「韓国の合計特殊出生率」をご覧ください。

 1953年の朝鮮戦争終了後に韓国はベビーブームを迎えました。1960年には6・0を超えていた模様ですが、1987年には1・53まで落ちました。しかし、ベビーブーム世代が子供を生む第2次ベビーブームにより、その後やや持ち直しました。もっとも、2015年(1・24)以降はつるべ落としです。

少子化がもたらした競争社会

――韓国政府は少子化対策を実施していないのですか?

鈴置:日本と同様の出産補助金や男性の育児休業制度などを導入しています。というのに、低いと大問題になっている日本の出生率、2022年の1・26と比べても大幅に低い。

――なぜでしょうか。

鈴置:韓国社会独特の「生きづらさ」が原因と見られます。11月30日、韓国銀行が経済展望報告書(2023年11月)の一部として「中長期深層研究 超低出産と超高齢社会:極端な人口構造の原因、影響、対策」と題する大掛かりな研究報告書を発表しました。

 この研究は少子化の原因を主に「社会の競争圧力」と「経済的困難さ」に見い出しました。前者は韓国特有の理由です。

「競争圧力」とは激しい競争社会の中で生きているとの実感です。そう感じている人は、子供を「勝ち組」に育てるために数を減らし教育投資を集中するという見方です。

 国民へのアンケート調査の結果、「競争圧力」を強く感じる集団の希望する子供の数は0・73人。一方、強く感じない集団は0・87人だったことを根拠に挙げています。

「経済的困難さ」に関しても、この研究は興味深い分析をしています。公務員や準公務員の未婚者のうち結婚を希望する人は58・5%に達します。一方、雇用の不安定な非正規職の人は36・6%に留まります。結婚・出産には安定的な雇用が必須ということです。

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