学力テスト「全国トップクラス」の秋田県で、公立高校の“定員割れ”が続出…難関大進学者数が増えない根本的な理由
年々減少する東大合格者
秋田県の公立高校は、東京大学進学率も冴えない状況が続く。秋田県から東大生を送り出している高校は秋田高校がほぼ独占状態だ。2010年代の合計で101人と、毎年コンスタントに10人前後の合格者を出している。対する横手高校は、1990年代は合計27人、2000年代は合計22人の東大合格者を出していたのだが、2010年代はわずか8人となり、凋落が著しい。
もちろん、東大合格者数だけで、その県の学力を測るのは乱暴かもしれない。しかし、秋田県はかつて全国学力テストで「もっとも優秀な県」といわれ、県外から視察が相次いでいたのだ。そんな秋田県がこのような状況でいいのだろうか。
「高校受験の難易度が下がった結果、進学校のレベルが下がっているという、わかりやすい例です。結局、高校って空気感が大事なんですよ。いわゆる東京の名門私立の合格率が高いのは、東大を目指す生徒が周りに普通にいて、『自分も少し頑張って東大を目指してみようかな』と思える環境であることが大きい。かつては県内の進学校にもそうした気風はあったのですが、徐々に失われつつあるように感じます」
こう塾講師が語るように、開成高校や灘高校などの名門私立のメリットは、学校全体で、東大を受験しようという機運が醸成されていることにある。さらに生徒の家庭の財力もあるため、浪人をリスクと考えない。彼らは模試でE判定をとっても、周りも受験しているし、落ちても来年があるからと東大を受験してしまうのだ。もちろん生徒の基礎学力が最初から高いのは間違いないが、周囲の環境も高い進学率を支える要因として重要なのである。
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