妻が離婚届と一緒に突き付けた「不倫相手からのエグ過ぎる贈り物」 50歳夫は「今思えばとんでもない女」「僕は何をしたんでしょうか」

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リカから妻への「贈り物」

 今年の春、娘は中学生になった。入学式に参列した喜正さんは、今までの人生を振り返り、娘の姿に涙した。智佳子さんはそんな彼の様子をじっと見つめていたそうだ。目が合って彼が照れ笑いを浮かべると、智佳子さんは優しく微笑んだ。

「3年後に娘が高校に入ったら離婚もありかなあと思いました。智佳子なら受け入れてくれるんじゃないかと。リカに『3年後に結婚しないか?』と言ったら、『結婚という形はどうでもいいけど、あなたがやっとひとりになる決心をしてくれたならうれしい』と。半世紀生きてきて、自分の行動に満足感を得ました」

 ところが夏前、智佳子さんからいきなり離婚届を突きつけられた。どういうことなのと戸惑う彼に、智佳子さんはダンボール箱を持ってきた。

「『これ以上、バカバカしいことにつきあってはいられない。人の悪意をすべて飲み込めるほど私は大人じゃない』と言うんです。中を見たら、すべてリカから送られてきたものでした。僕が彼女の部屋に置いていた仕事道具や衣類の一部、僕の寝顔の写真もあった。使用済みの避妊具がいくつも入ったビニール袋。そしていちばん驚いたのは彼女が僕の下半身に顔を埋めている写真でした。エグいことをしますよね。あまりにエグすぎて思わず笑ってしまったくらいです」

 妻は「あなたはこういうときに笑う人じゃなかった。彼女に魂を売ったのね」と言った。出ていけと言われ、彼はその通りにした。ところが身の回りのものをもってリカさんのところに行くと、「入らないで」と言われてしまう。

「彼女は智佳子から、1000万円払えと言われていると。弁護士が入っての話ではないけど、これを拒否するなら正式に訴えるそうです。リカと智佳子は水面下でこの1年くらいやりとりしていた。僕はまったく知らなかったけど」

「あれよあれよという間に」

 わかっているのは妻も恋人も、彼を「不要だ」と思っていることだけだ。自分がリカさんと智佳子さん、どちらかを選ぶ立場だと思っていた喜正さんだが、実はどちらからも見限られていたのだ。

「とりあえず僕はアパートを借りて住んでいますが、妻とリカの関係がどうなっているのか情報が入ってこないんですよ。あげく娘にも会うことを拒絶された。あれよあれよという間にこんなことになって、何がどうなっているのかわからない。離婚届にはサインしていません。僕は離婚したくない」

 もうじき離婚調停が始まる。それが決裂すれば裁判になるだろう。一方、智佳子さんとリカさんの間でも裁判沙汰が予想される。

 自分が悪いという言葉は最後まで喜正さんの口から出てこなかった。不倫経験者は、婚外恋愛が本当に悪いのかと聞かれると素直にイエスとは言いづらいだろうし、悪いとおもっていない人もいるかもしれない。

「智佳子は僕に離婚を強いてくる。リカにはお金で賠償しろと言っている。リカは智佳子を挑発した。僕は何をしたんでしょう。ふたりをそれぞれ大事に思っていたのに……」

 一般常識を排除すれば、喜正さんの気持ちもわからなくはない。だが一夫一婦という制度に乗った限りは、そこを逸脱すれば責められるのは当然のこと。甘かったとしか言いようがないのかもしれない。

前編【「おまえはおかあさんが浮気してできた子だ」…50歳男性が語る、父親の敵意に耐えた少年時代 「親の影響で僕は自分に自信が持てない」】からのつづき

亀山早苗(かめやま・さなえ)
フリーライター。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。

デイリー新潮編集部

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