【甲府夫婦放火殺人】特定少年の被告に死刑求刑「ザ・優等生」「典型的な陰キャ」同級生が証言する事件前の異変

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父親が起こした窃盗事件

 遠藤から言い寄られていた井上さんは、中学1年の頃から不登校になり、最終的に中央高定時制に進んだという。

「彼女はお父さんとお母さんのことが大好きでした。中学の卒業式で卒業証書を渡された時、普通はそのまま席に戻るところ、彼女は“お父さん、お母さんありがとう”みたいなことを言っていたのを覚えています」(同級生)

 そんな彼女から、父親と母親を理不尽に奪い取った遠藤。その生い立ちはいかなるものなのか。

 彼が小学生の頃、数年間両親と共に暮らした一軒家は今も山梨県中央市に建っている。表札は「渡辺」。彼は小学校、中学校時代は渡辺裕喜、中央高定時制に入ってからは遠藤裕喜の名で通っていた。渡辺は父親の姓である。

「渡辺さん一家があの家に越してきたのは今から12~13年前くらいでしょうか。当時小学1年生だった裕喜君を連れて挨拶に来てくれました。家族構成は両親に子1人の3人です」

 と、近所の住人。

「ただ、裕喜君が小学2年か3年の頃、お父さんが窃盗をして捕まってしまいました。そのせいで裕喜君は学校でいじめられるようになったのか、時期を同じくして不登校気味になっていたと思います。それから数年は家族3人で暮らしていたのですが、裕喜君が小学校高学年の時に彼と母親が家を出て行きました。それからしばらく一人で暮らしていた父親も4年くらい前にいなくなりました」

 父親の窃盗事件については当時、新聞でも〈給湯器2台盗んだ疑い〉との見出しで報じられている。

「裕喜君の父親は確か電気工事の仕事をしていて、犯罪をするような雰囲気は全然なかったんですけどね……。奥さんと別れた後、中学生になった裕喜君が父親と一緒に隣組の忘年会に顔を出したこともありました」(別の近隣住民)

小学校転校のきっかけ

 渡辺裕喜の父方の祖母はこう話す。

「裕喜の父親が離婚したのは裕喜が小学6年の頃です。裕喜が放火事件? 私は何も聞いていません」

 小学5年生の時、彼はある“事件”を起こし、それがきっかけとなって甲府市内の小学校に転校している。

「ウチの息子が裕喜くんと2人で外で遊んで帰ってきたら、カバンに入れてあったニンテンドーDSのソフト10本以上が全部無くなっていた。2人っきりで遊んでいたので裕喜くんを疑うのは当然ですよね」

 そう話すのは小学校時代の同級生の保護者。

「だからあの子の家まで行って、ソフトが無くなったんだけど知りませんか、と聞いた。でもあの子の母親は“息子は知らないと言っている”と繰り返すだけ。あの子の家の裏にウチの息子が持っていたソフトのケースが捨ててあるのを見つけて指摘しても態度を変えませんでした。それで諦めて帰ったのですが、あの子は翌日から学校に来なくなり、そのまま転校してしまったのです。あの子はいつもそうして母親に甘やかされてきたのでしょう」

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