【甲府夫婦放火殺人】特定少年の被告に死刑求刑「ザ・優等生」「典型的な陰キャ」同級生が証言する事件前の異変
「自首」ではなく「出頭」
家に火を放った後、男は北西方向に逃走。ほどなくして山梨県警は防犯カメラの映像などから男を特定し、80人体制で男の行方を追うなど捜査を開始したが、その幕切れはあっけないものだった。同日夜、現場から直線距離で30キロ近く離れた県警南部署管内の駐在所に男が姿を現したのである。
「駐在所は無人だったため、男はそこから警察署に電話をかけ、泣きながら“人を殺してしまった”と事件への関与を認めました」(同)
すぐさま警察官が駐在所に駆け付けた。そこには顔の半分くらいにやけどを負い、右手にケガをした若い男がいた。
「男はすぐに任意同行され、翌13日2時22分に逮捕。容疑は井上さんの次女への暴行などです。男が自ら駐在所を訪れたのは、警察当局が犯罪事実を把握した後だったので、『自首』ではなく、『出頭』の扱いとなります」(同)
大人しそうな男
しかし、冒頭でも触れた遠藤裕喜という名は、逮捕時の年齢が19歳だったことから少年法に護られ、顔写真ともあわせて報じられることはなかった。
取調べに対して遠藤は、
「家に侵入したのが見つかれば、家族全員を殺そうと思っていた」
と供述。実際、井上さん夫妻を刺殺した後、逃げようとした次女を凶器などで殴った上で火を放っている。残虐極まりない犯行には慄然とする他ない。
「遠藤は淡々とした様子で取調べに応じており、捜査員たちも“なぜこの大人しそうな男があれほどの事件を起こしたのか”と驚いています」
先の捜査関係者が言う。
「また、この事件には警察庁も大いに注目しています。今後、本件の殺人も含めて遠藤の再逮捕が繰り返されることになりますし、鑑定留置が長引くことも考えられる。となると、起訴が来年4月以降にずれ込むかもしれず、改正少年法の『特定少年』の第1号となる可能性があるのです」
遠藤はすでに動機に繋がる供述もしている。
「(井上さんの長女に)好意を持っていた。交際を申し込んだが断られた。LINEもブロックされた」
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