「ブギウギ」は笠置シヅ子、「らんまん」は牧野富太郎…モデルがいる朝ドラ作品の難しさとは

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 NHK連続テレビ小説「ブギウギ」が折り返し地点に近づく中、視聴率が伸び悩んでいる。このところの数字は前作「らんまん」を僅かだが下回る。絶賛する向きもある作品でありながら、どうしてだろう。(視聴率はビデオリサーチ調べ、関東地区)

モデルのいる作品の弱点

「ブギウギ」を絶賛する声は少なくない。それでも第10週(12月4~8日)の平均視聴率は個人9.32%、世帯16.2%。前作「らんまん」(2023年度上期)の同じ第10週は個人9.34%、世帯16.5%だったから、僅かながら下回っている。

 そもそも両作品とも平均的と言える視聴率なのだ。どうしてなのか。「らんまん」には植物学者の牧野富太郎博士、「ブギウギ」には笠置シヅ子さんというモデルがいるのが一因なのではないか。

 ここ数年で高い支持を得た作品というと、「カムカムエヴリバディ」(2021年度下期)。全話平均視聴率は個人9.6%、世帯17.1%に達した。話題にもなった 。こちらはオリジナル作品だった。

 著名人のモデルがいる作品は基礎票的な支持を得やすい一方で、アキレス腱がある。モデルの生涯から大幅に逸れたストーリーにはしないから、テーマやメッセージを盛り込むのが難しい。

 オリジナル作品は正反対。オリジナル作品は先にテーマとメッセージを決め、そこからストーリーを作るから、視聴者に伝えたいことを織り込みやすい。

「ブギウギ」のテーマとメッセージはおそらく「歌の持つ力」だろうが、現時点では明瞭には表れていない。「らんまん」のテーマとメッセージは「好きなことをやり抜き、好きな人を愛し続ける」だったのだろうが、これも容易には見えてこなかった。

オリジナル作品の強みとは

 また「ブギウギ」の場合は笠置さんがモデルなので、その生涯を辿ると、ある程度は先のストーリーが読めてしまう。これもモデルがいる作品に共通する泣き所だ。

 一方、オリジナル作品は先のことも登場人物の気質も読めない。だから視聴率が低めでも話題になる。「ちむどんどん」(2022年度上期)の全話平均視聴率は個人8.9%、世帯15.8%に過ぎないが、視聴者の意見がSNSを大いに賑わせたのが記憶に新しい。話題性はここ数年でナンバーワンだったに違いない。

 この作品への視聴者の意見の発信には賛否があったようだが、公序良俗に反しない限り、視聴者が連続テレビ小説について声を上げることに問題があるはずがない。マスコミ人だけが連続テレビ小説について語れるなどという時代はとっくの昔に終わっている。

 全話平均の個人が8.9%、世帯が15.6%だった「舞いあがれ!」(2022年度下期)も話題性は高かった。リーマンショックを盛り込んだことが議論となった。短歌の話を織り交ぜたことも評判となった。オリジナル作品の強みだ。

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