「隠し球デッドボール」に「究極の挟殺プレー」 2023年パ・リーグで起きた“嘘のような珍プレー集” リプレー映像がないトラブルも発生

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幸運を運んだ“珍死球”

 岡田阪神が38年ぶりの日本一を達成した2023年のプロ野球。連日の手に汗握る熱戦とは別に、思わず「えっ、嘘~っ!」と言いたくなるような不思議な光景も少なからず見られた。押し迫る年の瀬を前に、スタンドやテレビ桟敷のファンが目を白黒させた珍場面3題をプレイバックしてみよう。【久保田龍雄/ライター】

 まるで手品でも見ているような“隠し球デッドボール”の珍事が実現したのが、7月13日のソフトバンク対西武である。

 2対2の同点で迎えた8回表、西武は先頭の4番・中村剛也が1ボールから津森宥紀の2球目、内角高めをえぐる147キロ直球を避けきれず、左腹部をかすめる死球になった。

「わっ!」と叫んで、苦痛の表情で腹を押さえながら、体を何度も折り曲げる中村。ここまではよくある死球のシーンだったが、なぜかユニホームの辺りを手でゴソゴソとまさぐっている。

「一体何をやっているんだろう」と周囲の注視を浴びるなか、ユニホームの中から出てきたのは、なんとボールだった。

 どうやら、ボタンの隙間から中に入ってしまったようだ。スローモーションVTRで見ると、ボールがユニホームの中に進入していく様子がよくわかり、思わずクスリとしてしまったファンもいたはずだ。

 西本欣司球審にボールを手渡した中村は、痛みをこらえながら一塁へ。「お腹に当たりました。(ユニホームの中にボールが入ったのは)初めて」と苦笑いだったが、この“珍死球”が味方に幸運をもたらす。

 無死一塁から次打者・マキノンも左前安打で一、二塁とチャンスを広げ、送りバントで1死二、三塁としたあと、長谷川信哉の遊ゴロの間に待望の勝ち越し点を挙げた。

 もっとも、中村は二進した際に代走・山野辺翔を送られてしまい、決勝のホームを踏めなかったのだが、文字どおり、体を張ったプレーでチームの勝利に貢献したことに変わりはない。

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