城咲仁氏が語る「悪質ホスト問題」 発端は石原都政の歌舞伎町浄化作戦 テレビでは議論されない本当の問題点

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【前編】「引退から18年…歌舞伎町『伝説のホスト』のいま 冷凍チャーハンの開発、1年前に会社設立、町中華フェスを開催する理由」からつづく。

“伝説のホスト”城咲仁氏(46)が、現在、問題となっているホストクラブついて語る。

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 10代を含む若い女性がホストクラブで高額な料金を請求された末、体を売って支払う事態が多発し、国会でも取り上げられている。岸田文雄首相は「対策を行っていく」と発言。野党からは対策を盛り込んだ法案が今国会に提出される見通しだ。

城咲:11月22日、大阪のキタとミナミのホストクラブに、警察が一斉立ち入り調査を行いました。東京でもまもなく行われると言われています。

――城咲氏のホスト時代とは、どこが違うのだろうか。

城咲:僕がホストをやっていた頃と比べると、今は全く別の職業というくらい変わってしまいました。元々ホストクラブというのは社交場だったんです。生バンドがいて、ダンスフロアでジルバとかチャチャチャを踊るって飲む。安く済まそうと思えば、2万5000円くらいで遊べたんです。時間制ではないので、焼酎1本降ろして、ウーロン茶とピッチャー、指名料が込みでそのくらい。普通のOLさんが「仁君、あのボトルを入れたいから、ボーナスが出たら来るね」とか、「半年後に誕生日をここで祝いたいから、貯金してから来るね」という感じでした。昔はホストとお客さんに絆があったんです。銀座のクラブのママって、ちゃんとホステスさんとお客さんの管理をしているじゃないですか。ホストクラブもそうだったし、今でもそういう店はある。僕の古巣である「クラブ愛」は、未入金がほとんどありません。ほとんどがクレジットカード払いですから、トラブルなんてないんです。問題になっているホストクラブとは全く違います。

――今のホストクラブといえば?

歌舞伎町浄化作戦が転機に

城咲:最近は若い女性がホストを“推し活”する場になってしまいました。そこが一番の違いでしょうね。ホストと疑似恋愛ができるとでも言いますが、僕らの頃はそんなものはありませんでした。疑似恋愛だとお店以外でも会わなきゃいけなくなりますから、時間も持って行かれてしまいます。僕らのような“友達営業”なら、お店以外では会わずに済むわけです。だから、お客様の指名数も増えたんです。

――いつ頃から変わったのでしょうか。

城咲:2005年に当時の石原慎太郎都知事(1932~2022)が打ち出した歌舞伎町浄化作戦が原因で、昔のホストクラブが衰退していったこととも関係していると思います。

――警察はホストクラブに対し、風俗営業法の午前0時までの客の退店の厳守を求め、これに準じない場合は摘発した。

城咲:夜12時から朝5時までの“日の出営業”ができなくなったことで、お客さんの層がガラッと変わったんです。それまでは、お店を終えた銀座のクラブのママや有閑マダムと呼ばれるお客さんも多かった。男性のお客さんも他店で飲んだ後にアフターの女の子を連れてくるから、ちゃんと接客ができないとボトルが空かなかったんです。ですから、僕らは楽しく飲んでもらって、いっぱい頼んでもらうために、トークスキルを磨いたものです。接客スキルはもちろん、身の着こなし、立ち居振る舞い、お酒の知識……。先輩や同僚、お店のミーティングでも話し合いましたし、勉強会もやっていました。お客さんたちもスーツを着たホストがしっかり接客をして、その環境で遊べることに優越感を感じていたんです。

――さらに、コロナ禍の営業自粛も影響したという。

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