引退から18年…歌舞伎町「伝説のホスト」のいま 冷凍チャーハンの開発、1年前に会社設立、町中華フェスを開催する理由
クリーンだったからこそ
城咲:会社を興したものの、その役割については1年間模索しました。その間、いろいろな経営者の方にも相談に乗っていただきました。「仁君さあ、モノを作るとか言っているけど、みんな在庫を抱えて大変なんだよ。在庫を持たずに仕事ができるのが理想なんだよ」と言われて、そういう考え方もあるのかと思いましたね。そして、自分は人のスピーカーにならなれると気づいたんです。現在、国会でも問題になっているホストクラブの問題なども、政治家の方や世の中にも発信できます。僕がフェスを開いて、みんなと考える時間を作っていけばいいんじゃないのかと思っています。
――来年は“中華フェス”を開催するという。
城咲:両親が共働きで、僕は一人っ子の鍵っ子。愛情はもらっていたけれど、子どもの頃は、ごはんは一人で寂しく食べていた。今、孤食が問題になっているじゃないですか。子ども食堂とか給食を配膳していた会社が倒産したり……。やっぱり、ごはんが食べられない子とか、愛情に飢えている時って、いい精神状態じゃないから他で満たそうとして非行に走ったりするわけです。家族や友達と会話をしてお腹いっぱい食べる、当たり前のことを当たり前にできれば、“トー横”にいる若い子を減らすことができるかもしれない。それで来年9月に、町中華フェスを企画しているんです。収益が出るようになった時には、出店してもらった店舗や協賛企業にお返しした後、食育や青少年の育成などに寄付をしていきたいと考えています。
――SAEROYI JAPANは会社と言うよりボランティア団体のようにも思える。
城咲:僕はホストという仕事をクリーンにやっていたからこそ、芸能という世界に入ることができて、それで独立して結婚も会社を興すこともできた。そこに一流企業の方が賛同してくださった。ですから、その方たちと一緒に世の中が良くなることを模索している段階です。今はその答えが、ようやく見え始めて来たところでしょうか。
――そんな折、今回のホスト問題が浮上した。
城咲:ホストって良いことも悪いこともできる商売ではあるんです。汚い商売で稼ぐこともできれば、女性が明日から頑張ろうとか、楽しく過ごせてストレスがなくなったとか、感謝されることもできる。僕の周りのホストさんにも、今回の問題が浮上する前からクリーンな商売をするよう訴えてきたんです。そうでないと“伝説のホスト”と呼ばれる城咲仁という男は、悪の親玉みたいになってしまいますからね。
――後編では件のホスト問題について語ってもらう。