アンミカはなぜ若い世代にウケている? 「不買運動」で嫌っているのは中高年だけ?

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ゴージャスかやりすぎか……「アンミカ的なもの」を煮詰めに煮詰めた仕立ての功罪

 ポジティブモンスターの異名を取るアンミカさんだが、ポジティブも度が過ぎれば毒になる。「なんでもいいところを見つけて褒める」「ふわっと良さを伝える」「標準語と関西弁の使い分け」など、通販でのしゃべりのテクニックを、バラエティーで披露してはよく笑いを取っていた。しかし共演者の笑いには、賞賛だけでなく苦笑も含まれていたように思う。有吉弘行さんは後輩芸人に、「アンミカのホームパーティーだけは絶対行くな」とくぎを刺していたというが、ポジティブの一言で済まない何かを嗅ぎ取っていたに違いない。

 流ちょうすぎるしゃべりと、派手なメイクで助長されるオーバーな顔芸は、通販番組やコメンテーターとして培ったたまものだろう。でも平場でやられると、どこかうさんくささが漂うのだ。まだ買うとも言っていないのに、ここぞとばかりに商売道具を広げ始めたような印象を感じてしまう。そうした「押しの強さ」や「がめつさ」を苦々しく見ていた視聴者にとって、「アンミカワールド」全開の日清CMは抵抗を覚えたことだろう。

 明るい曲調に合わせて響き渡る、装飾過多な商品説明。たびたびアップになる真っ赤な口紅とまつげバチバチの顔。さまざまな衣装を着こなしたアンミカさんが、分身の術のように増えていく、キラキラの世界はスピリチュアルでゴージャス。でも見ようによっては怖い、うるさい、圧が強い。

 どん兵衛のような人気商品ともなれば、何をやったって一定の売り上げは見込める。ならば好感度よりインパクトを、「最強どん兵衛」の「最強」は、「アンミカさん的なもの」のアクの強さによって伝えよう。そう宣伝担当チームが考えたとしてもおかしくはない。そして何より、アンミカさんは若い世代に大人気なのである。

アンミカ嫌いは中年だけ? アンチが騒げば騒ぐほど若者世代から支持される背景

「女性自身」が行った女性の「好きな・嫌いなコメンテーター」ランキングでは、「好きな」では2位に、「嫌いな」では3位となったアンミカさん。ワイドショーを見ている中高年層にとって、「見ていて元気になれる」「話がわかりやすい」と評価される一方で、「うそくさい」「見ていて疲れる」と、ポジティブ売りが一周してネガティブに響いている面もあるようだ。

 翻って、若い層には大人気。今春社会人になる学生が選ぶ「理想の上司2023」(明治安田生命調べ)では初めてランクインし、女性の3位に輝いた。さらにソニー生命による「中高生が“将来のことを相談したい”と思う有名人」では、女子の回答1位に。ちなみに同調査では「10年後の日本」の見通しについて聞く項目もあったが、中高生の約7割が不安と答えている。

 ムキになって不買運動だなんだとアンミカさんにネガティブな声をぶつける中高年を見るたび、若者層は改めて日本社会に暗さや閉塞感を感じるようになるのではないか。

 こんな世の中だからせめて相談相手くらい、ポジティブ思考で前向きなアンミカさんにお願いしたい。そんな思いが感じられる。アンチが騒げば騒ぐほど、アンミカさんのポジティブさを求める若者は増えるばかりということだ。

 騒動後にアンミカさんは一切コメントを出していないが、こうした流れを予想していたとしたら、やはりタレントというよりは商人(あきんど)としての才に長けている。しぶとく長く生きるたくましさという点で、なるほど麺類のCMキャラクターにはぴったりだったのかもしれない。

冨士海ネコ(ライター)

デイリー新潮編集部

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