初舞台から17年…春野恵子が「浪曲の世界」を語る 9年も前にクラウドファンディング、今年とにかく緊張した公演とは

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クラウドファンディングで海外公演

 2014年には、ネット上で資金を募るクラウドファンディングを利用して資金を集め、米ニューヨーク公演を皮切りに中国、ドイツ、ロシア、イタリア、ブラジルなどで公演を成功させた。

「クラウドファンディングを利用したら550万円も集まったんです。新聞やテレビも大きく取り上げてくれて嬉しかった。あの頃はまだクラウドファンディングというものも普及していませんでした。協力を求めてどれだけ走り回ったかわからない。足で稼ぎました」(恵子さん)

 海外公演では、英語浪曲だけでなく日本語の浪曲に現地語の字幕を付けた演目を披露する。

 恵子さんは「英語は正しい訳かどうかはわかるけど、ロシア語や中国語はさっぱりわからない。心配でしたが、モスクワでは近松門左衛門を研究しているロシア人学者が訳してくれたりして安心しました。日本でも字幕付きで外国のミュージカルやオペラ公演を楽しんでいる。それと同じことと思えたんです」と話した。

粟野仁雄(あわの・まさお)
ジャーナリスト。1956年、兵庫県生まれ。大阪大学文学部を卒業。2001年まで共同通信記者。著書に「サハリンに残されて」(三一書房)、「警察の犯罪――鹿児島県警・志布志事件」(ワック)、「検察に、殺される」(ベスト新書)、「ルポ 原発難民」(潮出版社)、「アスベスト禍」(集英社新書)など。

デイリー新潮編集部

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