「帰ってきたウルトラマン」主演の団時朗さん、当たり役に恵まれた“ウルトラ兄弟”との絆【2023年墓碑銘】

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 長く厳しい“コロナ禍”が明け、街がかつてのにぎわいを取り戻した2023年。侍ジャパンのWBC制覇に胸を高鳴らせつつ、世界が新たな“戦争の時代”に突入したことを実感せざるを得ない一年だった。そんな今年も、数多くの著名人がこの世を去っている。「週刊新潮」の長寿連載「墓碑銘」では、旅立った方々が歩んだ人生の悲喜こもごもを余すことなく描いてきた。その波乱に満ちた歩みを振り返ることで、故人をしのびたい。
(「週刊新潮」2023年4月6日号掲載の内容です)

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 1971年から放送された「帰ってきたウルトラマン」で、主人公の郷秀樹を演じたのが団時朗さん。怪獣攻撃隊の隊員でウルトラマンに変身する役である。

 同作は上原正三さん、市川森一さん、石堂淑朗さんらそうそうたる顔触れが脚本を担当し、監督、カメラマン、特撮技術など一流の力を結集して作られていた。

 監督を担ったひとりである山際永三さんは振り返る。

「子供に楽しんでもらうのが第一ですが、子供番組のつもりで作っていません。単に怪獣を退治する話ではなく、人間の心の奥底を描こうとしていました。団さんはきっちりと芝居をしてくれました。若々しくニヤリとした時の表情も良かった」

 団さんは身長180センチ以上、顔も彫りが深かった。

「格好良くて目も印象的。宇宙を感じさせる顔で主役に最適でした」(山際さん)

 49年、京都生まれ。本名は村田秀雄。母親は小唄の師匠。父親はアメリカの軍人で朝鮮戦争で亡くなった。

 ファッションに関心があった。67年に上京、資生堂の男性化粧品「MG5」のコマーシャルに出演。男性モデルの最高峰として、一躍スター同然の人気を呼ぶ。

 俳優や歌手としても活動を始め、「帰ってきたウルトラマン」の主役に抜てきされる。同じく隊員役の西田健や恋人役の榊原るみなど共演者にも恵まれた。

「ダンディー4」

「団さんは素直で裏表がなく心が温かい。子供に好かれて自然な演技を引き出してもくれた。戦いを終えたウルトラマンが空に飛び去り、団さん演じる郷隊員が手を振りながら走ってくる場面ばかりでは面白くないので、疲れ果てて倒れてしまう姿をラストにしたこともあります。こういう試みにも期待通りに応じてくれました」(山際さん)

 相変わらずおしゃれで、普段着姿の場面はほとんど団さんの自前の服だった。

 テレビでの登場が増え、「少年探偵団」の怪人二十面相役などを好演。80年代に入ると舞台に軸足を移す。杉村春子、森光子、森繁久彌らとの共演や、黒柳徹子主演の海外コメディーシリーズも話題になった。

 演劇評論家の大笹吉雄さんは言う。

「大柄で舞台映えして声も良い。好感を持たれ、出演作はとても多いのです。一方、風貌で役柄が限られてしまいました。海外の紳士役などはぴったりですが、和服はちょっと似合いません」

 団さんはウルトラマンの黒部進さん、ウルトラセブンの森次晃嗣さん、ウルトラマンAの高峰圭二さんと特に仲が良く、周囲から「ダンディー4」と呼ばれていた。2000年代に入っても映画で共演している。

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