ラーム リブゴルフ移籍の波紋 「サウジに魂を売り渡した」と激怒するファン、メディアの批判も超過激に
怒るメディアも
ラームがリブゴルフへ移籍したことに対する米国の一般社会のリアクションは、9・11テロによる被害者やその家族などサウジアラビアを敵視している人々からは「ラームはサウジに魂を売り渡した」といった憎悪に近い声が上がっている。
発表直後はクールだった米メディアの反応は、日が経つにつれ抑えようとしていた怒りが抑えきれなくなって噴出したかのように、過激な批判記事を発信するメディアが見られるようになった。
とりわけ、USAトゥデイのウエブサイトに掲載されたナンシー・アーマー記者の批判記事は強烈だった。
「魂を売り渡したかどうかは、ジョン・ラームのみが知るところだ」と前置きした上で、彼女は怒りと落胆を込めながらラームを批判した。
「かつてラームは、3日間54ホールで予選カットなしというスタイルのリブゴルフはゴルフではないと言っていた。自分自身が求めるゴルフではないし、ゴルフクラブを握る世界中の子どもたちが夢見る場所では決してないと言っていた。しかし、今、ラームは、リブゴルフの成長と発展が自分の心を変え動かしたと言っている。だが、ラームはリブゴルフの何を知っているというのか。私たちメディアや周囲も知らないようなリブゴルフの何かを知っているとでも言うのだろうか?」
知っているのなら言ってみせろと言わんばかりの厳しいトーンで書かれた彼女の記事には、こうも記されていた。
「リブゴルフは単なるゴルフリーグではない。母国サウジアラビアの人権侵害を隠蔽するためのスポーツウォッシングを行なっている団体なのだ。ラームはそんな団体に雇われ、そんな団体のイメージアップのために貢献していく道を選んだことになる。そのことを、ラームは理解しているのか? していないのだろう。なぜなら、彼はそういうことではなく、ビッグマネーのために移籍したのだから」
記事を書いたアーマー記者の怒りと憤慨が伝わってきた。
結局、6月に発表されたPGAツアーとPIFの統合合意は、現状では何の解決にもなっておらず、ゴルフ界の分断は以前にも増して深まっているように感じられる。果たして12月31日のデッドラインまでに、この分断の溝を埋める良策は見出されるのか。ゴルフ界はこの危機的状況から脱することができるのか。
ハラハラさせられ続ける年の瀬である。