「貧乏になった」日本だが文化の水準は保っている? 高額のクラシックコンサートのチケット売り切れに一安心(古市憲寿)
「チケット求む」
高齢の男性が寒空の下、そう書かれた紙を持ちながら、真剣な面持ちで立っていた。一人だけではない。もうすぐ開演だというのに、シニア層がチケットを譲ってくれる人を探しているのだ。ここは東京赤坂のサントリーホール。まもなくベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の来日公演が始まろうとしている。
S席が4万5千円もするチケットは完売。もちろん当日券もない。来日は4年ぶりとあってファンにとっては待望の公演だったのだろう。素人が紛れ込んで申し訳ないと演奏を聴いていたのだが、不思議なことに十分楽しめた。...