防衛費増額のウラで「2000億円」巨額助成金に“身内びいき”の声 「防衛装備庁」が進める“民間排除”の法人選定スキーム

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過酷な条件を満たせる法人とは

 読めば読むほど、支援法人は防衛省や装備庁の外郭団体でなければ務まらないように見えて来る。では、ここまで過酷な条件を満たせる法人は存在するのか。その数少ない一社とされるのが、11月の事前説明会にも出席していた公益財団法人防衛基盤整備協会(BSK)だ。

 BSKは、昭和52年に財団法人防衛装備協会として発足した。新宿区市ヶ谷に位置する防衛省の正門と靖国通りを隔てたほぼ真向かいのビルに本部があり、協会のサイトには<防衛基盤の強化発展に貢献するために防衛思想の普及に関する事業並びに防衛装備品等の生産及び調達等に関する事業並びに防衛施設の建設に関する事業、情報セキュリティ及び国際規格等の認証に関する事業を行い、我が国の平和と安全の確保に寄与することを目的としています>とある。

 民間企業の資本金に相当する基本財産は8億5484万円、職員数は112人(ともに令和5年4月1日現在)で、帝国データバンクの資料によると、令和4年度の売上は11億8700万円、損益は151万5000円の赤字を計上している。

 とある防衛省の外郭団体幹部が後を引き取る。

「BSKに限らず、市ヶ谷周辺には雑居ビルに入居している防衛省の外郭団体や関連組織が少なくありません。BSKもその一社ですが、ここまで多くの防衛省や自衛隊、さらには国交省や経産省などの霞が関OBも引き受けているところは珍しい」

 例えば、BSKの鎌田昭良理事長(67)からして、防衛省で装備施設本部長を最後に退官したOBだ。

「非常勤を含めた理事はちょうど30人。その約半数が防衛省と自衛隊、国交省などのOBで占められています。加えて評議員が28人、監事が2人。これだけで60人に達します。一方で実務に携わる職員は全体の約半数の50人ほどです」

 船頭多くして――の印象が強いこの組織に、年間400億円、5年で2000億円という巨額予算の効率良い差配や運用を任せて大丈夫なのか。

「さすがにそれは荷が重いでしょう。ですから支援法人に選ばれた後は、電通や外資系の大手コンサル会社に業務委託を検討しているそうです」

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