防衛費増額のウラで「2000億円」巨額助成金に“身内びいき”の声 「防衛装備庁」が進める“民間排除”の法人選定スキーム
「天下り」の受け入れの有無を確認?
続いてこの項目。
<助成金の交付及び基金の管理を行うための経理的基礎を有しているか(法人における財務・経理の規則、事業報告、貸借対照表、損益計算書等を提出すること)>
「これは、過去に国や自治体から助成金を受け取ったことがあるかどうかを聞いている。言い換えれば、会社が税金の注入を受けたことがあるかどうか。所管官庁の下部組織である社団法人や財団法人ならいざ知らず、一般的に民間企業にはあり得ない話。要はこの一文でも、実質的に民間の参入を阻害しているんです」
さらにはこんな項目もあった。
<装備品製造等事業者からの装備移転仕様等調整に関する質問・相談に応じ助言するための能力を有しているか。(装備移転や装備品等の仕様・性能に関する知見を有すると考える者の職歴、経歴等を提出すること)>
「言うまでもなく自衛隊は陸海空に分かれており、装備品の種類は非常に多岐にわたります。無論、それぞれに高度な専門知識が必要ですから、装備庁の要求に応えるのは防衛省や自衛隊OBにしかできません。ここでは天下りの受け入れの有無を確認しているのでしょう。実際、応募団体には受付の段階でその有無を確認していますからね」
また、装備庁は応募団体を9つの<加点項目>で評価する仕組みも導入している。一見、公平な選考にも見えるが、ここでも前述したような“民間排除”の意図が透けて見える。
例えば<装備移転仕様等調整の実施後、助成金の精算を行う能力を有する者として、装備移転支援業務を実施する部門に適切な人材が充てられているか>だ。これを補足するように、<〇防衛関連企業において官側が行う原価監査に対応した経験のある者><●防衛省・自衛隊において原価監査に従事した経験のある者>との条件が添えられている。ちなみに<※〇がより望ましい人材>と付記してあるが、敢えて複数ある条件の中に、目を引くように黒丸がつけられた条件が含まれている理由の説明は見当たらない。
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