防衛費増額のウラで「2000億円」巨額助成金に“身内びいき”の声 「防衛装備庁」が進める“民間排除”の法人選定スキーム
装備庁による巧みな“仕掛け”
簡単に装備品の移転に関する流れを説明すると、およそ次のようになる。
・国(防衛省)と支援法人の間で移転対象となる装備品の仕様や計画を調整
・支援法人が防衛装備移転円滑化基金に助成金を申請、助成金を交付
・入札を経て、移転対象とされた装備品業者製造・納品を打診
・支援法人の確認を経て、外国政府や外国の軍隊に装備品を移転(輸出)
支援法人の公募から選定、監督などの実務を担うのは、防衛省の外局である防衛装備庁(以下、装備庁)だ。11月17日、装備庁は防衛省と隣接する庁舎E1棟8階の会議室Cで、公募に向けた事前説明会を開催した。
事情に詳しい大手防衛産業幹部が解説する。
「参加したのは12法人でした。公益財団法人防衛基盤整備協会や一般財団法人日本海事協会といった、防衛省や装備庁と密接な関係を持つ団体ばかりだったとか。一方でIHIや三菱電機、川崎重工業といった防衛産業は1社も出席していません」
この幹部によると、大手防衛産業を始めとする民間企業が参加を見送った背景には、装備庁による巧みな“仕掛け”があった。それは、装備庁が用意した公募要領に添付された<指定装備移転支援法人の指定の申請に関する審査項目>なる追加資料からも明らかという。
そこには最初の一文にこう書かれている。
<申請法人は一般社団法人又は一般財団法人か>
先の大手防衛産業幹部が続けて解説する。
「事前説明会が行われたのが11月中旬。この時点で装備庁が民間企業を排除する方針を持っていたことは明らかです。と言うのも、普段から役所の仕事を新規に受注するための社団法人や財団法人を持っている企業など聞いたことがありません。また、いまからいずれかの法人を設立しようとしたところで、申請から認定までには最短でも1ヵ月はかかる。文書の1行目から、民間企業に対して無理難題を押し付けているワケです」
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