「みっちり3時間しぼられた」 パー券裏金問題で特捜部の聴取を受けた現役秘書が証言した取り調べの様子

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ホテルニューオータニの一室で

 政権幹部などが受け取った裏金の額と人事情報が連日のように新聞紙面をにぎわせ、底なし沼の様相を呈する「自民党派閥パーティー裏金疑惑」。東京地検特捜部の捜査が大規模なものとなってきているなか、“鬼の特捜”に事情聴取を受けた安倍派所属議員の現役秘書が、「週刊新潮」の取材に検事との生々しいやり取りを証言した。

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 12月上旬のある日の午後、東京・千代田区にあるホテルニューオータニの一室には重苦しい空気が漂っていた。その密室で、自民党の最大派閥、清和政策研究会(安倍派)に所属する国会議員のベテラン男性秘書と対峙していたのは、しわ一つないスーツに身を包んだ検事と事務官だった。

「私は部屋の中にあるローテーブルの近くのソファに座り、検事さんは私の向かい側に置いた一人掛けの椅子に座っていました。また、事務官の人は別のテーブルの上にパソコンを用意し、私の証言内容をカタカタと打ち続けていました。時間は計3時間。正直、ノドがかわいたけれど、コップ一杯の水すら出なかったですね」

 ベテラン秘書はそう振り返る。

「最初に“黙秘権があります”と言われたので、“いや、大丈夫です”と。それから“今日の内容はマスコミと先生には言わないで”とも言われ、“先生とは?”と聞き返すと、“議員先生です”との答えでした」

 聴取を受けた秘書はみな、議員との情報共有を禁じられ、自民党の顧問弁護士への報告のみ許されているようだ。

“本当ですか?”

 検事からの質問が集中したのは当然、派閥からキックバックされた、販売ノルマを超えたパーティー券代金についてで、

「“いつ違法なことだと認識したのですか?”と聞かれたので、“今回の報道があって初めて認識しました”と答えました。全ては派閥の指示でやっていたので、本当に悪いことだと思っていませんでしたからね。ただ、検事さんはそうした答えに納得していなかったようで、“本当ですか?”などと言って何度も同じ趣旨の質問をしてきました」

 議員からの指示があったのかどうかを問う質問も繰り返されたという。

「“チケットを売るのに先生の指示はあったのか?”といったことは何回も聞かれました。ただ、ウチは代々、私設秘書を含めて大勢の秘書たちがチケットをさばいていたので、“先生の指示はない”と答えました。聴取はその日の1回で終わらず、数日後に2回目の聴取日程が設定されました」

“秘密ルール”

 別の男性秘書も同時期、やはりニューオータニで事情聴取を受けたという。

「みっちり3時間、取り調べでしぼられました……」

 と、その秘書は嘆息する。

「派閥からキックバックされたパーティー券代金について、“受け取った後どうしたのか?”と聞かれて、“覚えていない”と答えてしまったんですよ。あのお金は自由に使える裏金なので正直、ありがたかった。だからこそ、すぐに使ってしまい、使途を覚えていないのです。そう話した時の検事さんの反応は、すごく険しかったですね……」

 執拗(しつよう)を極める特捜部の事情聴取。裏金の実態は着実に丸裸にされつつあるのだ。しかも、、別の代議士秘書はこんな、これまで報じられていない“秘密ルール”を明かすのだった。

「参院議員の場合、6年ごとの自分の選挙の年はパーティー券のノルマが解除され、売った分を全額自分のものにできる。やはりこれも収支報告書に記載しないのが慣例で、衆院安倍派はそのことをうらやましがっていた」

 12月14日発売の「週刊新潮」では、特捜部の捜査の行く末と安倍派の悲惨な末路について、9ページにわたって詳しく報じる。

週刊新潮 2023年12月21日号掲載

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