「まるで迷路」「準備中の店ばかり」 麻布台ヒルズ「行ってガッカリ」の裏事情
ミカンが採り放題?
ところが、である。
「番組のようにミカンへ手を伸ばしたら、警備員に“採り放題というのはテレビ局が間違って放送したんです”と注意されました。番組の影響で採ってしまう人が多いみたいで、見張りの人が常に立って大変そうでした」(さる女性客)
テレビ東京に確認すると、
「番組は取材に基づいて制作したものです」(広報・IR部)
と言うのみだったが、当の森ビルに聞くと、
「放映後、実際に採りに来られた方が多数いらっしゃり、手の届く範囲のミカンはなくなってしまったため、安全管理上の理由で採取の制限をさせていただいております」
また、飲食店街では各店舗に長い行列ができており、30分から1時間待ちは当り前で「予約で満席」と書かれた張り紙を掲示する店も多くあった。
実際に予約を試みたという40代の男性会社員いわく、
「店に電話をかけてもつながらず、スマホアプリを使わないと予約できない場合も多かった。予約システムが面倒で使いづらいし、気軽にランチを求めてフラッと出かけられるところではない。そう痛感しましたよ」
「飲食店に対する規則がうるさい」
今回、森ビルから直接オファーを受けたという和洋中エスニックなど多彩なジャンルの店がそろう飲食店街。日本人シェフとして初めてフランスからレジオン・ドヌール勲章シュヴァリエを受けたフレンチの巨匠・三國清三氏(69)が手がけたレストランや、日本初出店でベトナムで評判のピザ専門店が人気というが、
「森ビルは飲食店に対しての規則が結構うるさくて、床が汚れるからと台車の車輪の色まで指定する上に、客が殺到しているから開店時間を15分前倒ししてと言ってくることもあった。別の店は30分も早く開けてくれと言われたそうです」
と明かすのは、麻布台ヒルズにある飲食店の関係者。
「仕込みの時間も無くなるし、従業員が疲弊するのでやりたくないのに、森ビルは昼も営業してくれとか注文が多い。月の賃料は坪3万円前後で70万~80万円の店が多いようですけど、毎日の売り上げを森ビルに報告する決まり。収益に合わせ歩合で家賃が変動する仕組みで、完全歩合の店もあるそうですが、コロナ禍の最中に初期費用で5千万円くらいかかったので、開店までも大変でした」
かようなシステムは大型商業施設では珍しくないそうだが、飲食店側の苦労は絶えないようである。
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