“未亡人製造器”オスプレイに米軍が見切り…自衛隊からは「扱いづらい」と不評、それでも今後17機に増やす予定

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オスプレイに対する不満

 操縦が難しく、整備も大変──。これだけでも大変な欠点だが、オスプレイにはもう一つ、少なくとも軍隊にとっては重大な問題があるという。

「輸送能力に難があるのです。アメリカ陸軍は大型輸送ヘリ『CH47 チヌーク』と、汎用ヘリ『UH60 ブラックホーク』で事足りているので、オスプレイの採用は見送りました。一方の海兵隊は長年にわたり、『CH46』というヘリコプターを運用していました。輸送能力、速度、航続距離などに不満を抱えていましたが、陸軍で活躍するチヌークは使えません。海兵隊は強襲揚陸艦での運用が絶対条件ですが、チヌークは大きすぎるのです。そこで白羽の矢を立てたのがオスプレイです。海兵隊には持ってこいの機体でした」(同・軍事ジャーナリスト)

アメリカの驚くべき決断

 オスプレイは海兵隊にとっては理想的な軍用機だった。機体はコンパクトで強襲揚陸艦に乗せられる。速度も航続距離もヘリコプターとは比べ物にならない──。

「海兵隊はオスプレイの搭載能力に満足していますが、陸軍には不満でした。例えばハンヴィーという軍用車があります。民生用がハマーということでも有名です。ジープの後継車として大活躍していますが、オスプレイはハンヴィーを積めません。吊り下げるしかないのです。海兵隊にとっては夢のような性能でも、陸軍にとっては高額でメンテナンスに手がかかり、輸送能力に難がある機体でしかありません。実際、オスプレイは輸出兵器として全く売れませんでした。最初は関心をしめした国もありましたが、機体の価格や整備の大変さなどが嫌われ、購入したのは日本だけという結果に終わったのです」(同・軍事ジャーナリスト)

 問題が多く、人気もないという軍用機を、なぜアメリカ軍は使っているのか──そう疑問に感じる人も多いだろう。いや、彼らも対策を講じた。それも驚くべき内容だ。

「アメリカ軍はオスプレイの調達を終えたのです。2021年の予算で承認された機体以外の追加注文はありません。2025年の納入が終わると、少なくともアメリカ軍用に機体を製造することはなくなります。つまりは用済みということで、後継機の開発に力を入れることが明らかになっています。そして調達終了の事実が明らかになった時点で、専門家の間から『オスプレイの機体そのものに不具合があり、調達を終了するのか?』という疑問の声が出たのです。そして今回、屋久島沖での墜落事故が起きました。すると今度は『やはりオスプレイには致命的な欠陥があり、だから調達を終えたのだ』と、傍証として解釈する専門家も出てきました」(同・軍事ジャーナリスト)

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