“未亡人製造器”オスプレイに米軍が見切り…自衛隊からは「扱いづらい」と不評、それでも今後17機に増やす予定

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 輸送機「V-22 オスプレイ」は開発段階で事故が多発、“ウィドウ・メーカー”というあだ名が付けられた。日本語に訳すと「未亡人製造器」。11月29日、今度はアメリカ空軍所属で横田基地に配備されていた「CV-22 オスプレイ」が鹿児島県の屋久島沖で墜落した。専門家からは「オスプレイに何らかの欠陥が存在するのではないか」との指摘が出ている。

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 墜落までの経緯を確認しておこう。29日の朝、東京の横田基地から3機のオスプレイが離陸。山口の岩国基地を経由し、沖縄の嘉手納基地に向かっていた。14時40分頃、そのうちの1機が墜落したわけだが、その15分前、国土交通省鹿児島空港事務所に「緊急状態。屋久島空港に着陸したい」と連絡を入れたという。

 まず気になるのは、「V-22」と「CV-22」の違いだ。軍事ジャーナリストは「V-22は一般的なオスプレイを指し、CV-22は特殊作戦の参加を想定した、特殊な装置を搭載しています」と言う。

「アメリカ軍には陸軍、空軍、海軍、そして海兵隊の各特殊部隊を統合指揮する『アメリカ特殊作戦軍』があります。空軍の構成部隊は『アメリカ空軍特殊作戦コマンド(AFSOC)』で、その中の第21特殊作戦中隊が横田基地に所属しており、配備されているオスプレイがCV-22なのです。機体の構造や性能はV-22と変わりません。異なる点は夜間飛行能力、高性能のレーダー、電子妨害装置の搭載などです。CV-22は敵のレーダー網を妨害しながら、夜の闇の中でも正確な飛行を行い、隠密行動を取ることができます。まさに特殊作戦に必要な能力なのです」(同・軍事ジャーナリスト)

本音は「扱いづらい機体」

 オスプレイの最大の特徴は、機体の左右に装着されている回転翼のエンジンが90度動くことだ。離陸時はエンジンを垂直にしてヘリコプターのように上昇し、空中でエンジンを水平にすると固定翼機のように飛ぶ。

「この設計によって最高速度と最高航続距離が飛躍的に伸びました。高速ヘリコプターでも最高速度は時速240キロぐらいですが、オスプレイは時速550キロ以上です。輸送ヘリの『CH-53E』は長距離飛行が可能で、航続距離は約2000キロです。ところがオスプレイは3500キロを超えます。性能だけを見れば、ヘリコプターと飛行機のいいとこ取りを実現したのです。飛んでいる姿を見ましたが圧倒的で、『これほど独創的な航空機はアメリカしか作れないだろうな』と感心してしまいました」(同・軍事ジャーナリスト)

 オスプレイは日本の自衛隊も運用している。もっとも現場の隊員からは「扱いづらいですよ」という本音が聞くこともあるという。

「やはりエンジンそのものが動くという設計は、相当に無理があるようです。パイロットには高い操縦技術が求められますし、複雑な構造のため整備士は検査と修理が大変なのです。実際、アメリカ以外で運用できているのは日本だけです。陸上自衛隊のパイロットの力量と、整備士の能力が高いため、何とか回せています。ですが現場の苦労は並大抵のものではありません」(同・軍事ジャーナリスト)

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