巨人、DeNA石田獲得でも“盟主返上”は不可避 「悪しき慣習」改め、岡本和真(27)の渡米加速
中田翔を飼い殺しにしなかった新生・巨人
「昨オフの森(友哉=西武からオリックスへFA移籍)の時は当初から劣勢を予想していたようで、獲得に乗り出したことを認めていなかったため、秘密主義に戻したのかと思いましたが……。このオフから監督や編成責任者が交代したことで、今後はFA交渉した事実を隠さず、他球団と横一線で争っていくこともあるんだろうなと思っています」(同編成担当)
巨人戦のナイター中継がテレビの地上波の日常から消えて久しく、子どもの頃から米大リーグが現実的な目標になっている選手たちがプロ入りしている。この現状で「巨人ブランド」と虚勢を張ることに意味がなくなったことを、ようやく受け入れたように見える。
一方で中田翔内野手(35)の中日移籍も、これまでの巨人では考えられない出来事ではなかったか。前出の編成担当が指摘する。
「巨人は同一ポジションで複数選手がダブついても他球団にトレードなどはせず、よそで活躍されるぐらいならと2軍で飼い殺しにしてきました。今までの巨人なら、中田に途中で契約を破棄できるオプトアウトを付帯させなかったかもしれません。同じセ・リーグで、しかも、親会社が新聞社同士という敵対関係にある中日に行くとは、隔世の感がありますね」
岡本には“早期渡米”のススメ
体裁ばかり気にしていてはチーム強化にはマイナスとなる。巨人にそんな余裕がなくなったと言えばそれまでだが、FA交渉における「秘密主義」や「囲い込み」からの決別は確実に体質が変わりつつある証左と言える。
となると注目は、メジャー志向が強い岡本和真内野手(27)のポスティングシステム移籍を容認するかどうかだ。岡本は順調なら26年オフに海外FA権を取得する。
この時、岡本は30歳。31歳のシーズンがメジャー1年目となる。
「脂が乗りきっている年齢ですが、30歳での大型契約は、特に日本人野手はメジャーでは厳しい。(メジャー球団からの)好条件を引き出すためだけでなく、アメリカの野球に適応するためにも早く行くに越したことはありません。大谷(翔平)は24歳のシーズン、鈴木(誠也=カブス)も28歳のシーズンで渡米しています。日本とは全く別物の野球だけに、岡本も順応性が高い若いときに行くべきでしょう」(米大手マネジメント会社の代理人)
巨人は球団史上、山口俊投手以外にポスティング移籍を容認していない。生え抜きでは誰もいない。しかし、20年オフには菅野智之投手に認める用意をしていた。伯父である原監督の後押しもあり、メジャー移籍は寸前のところまで来ていた。
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