巨人、DeNA石田獲得でも“盟主返上”は不可避 「悪しき慣習」改め、岡本和真(27)の渡米加速

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19年に続く2度目の歴史的惨敗?

 プロ野球巨人が今オフのフリーエージェント(FA)市場でも有力選手の獲得に成功していない。球団としては3年ぶりのFA選手補強を目指し、阿部慎之助監督(44)が交渉に同席した山崎福也投手(31)はオリックスから日本ハムに移籍した。残りの候補はDeNAからFAとなった石田健大投手(30)ぐらいか。DeNAが残留要請し、ヤクルトが獲得に乗り出しており、去就は未定だが、仮に巨人が獲得したとしても、かつてお家芸としていた巨大補強とは到底、言い難い。2年連続のBクラスからのV字回復を目指す来季へ、一向に展望は開けてこないものの、このオフにはある変化の兆候が見られた。

 11月、巨人が山崎の獲得に名乗りを上げたとき、DeNA、ヤクルトなど他球団関係者からは驚きの声が上がった。

「FAで巨人の獲得の動きが表に出るときは水面下では入団が決まっていることがほとんどでした。他球団が何度も交渉を重ねていたとしても、最後に現れて持っていってしまう。しかし、今回の山崎の場合は、そう(山崎獲得が決定的)ではないとみていました。一昔前の巨人なら考えられないことで、手法を変えたのかなと思いました」

 遡ること4年。2019年オフのFA戦線で巨人はロッテからFAした鈴木大地内野手(現楽天)と、楽天からFAした美馬学投手(現ロッテ)の獲得に乗り出した。原辰徳監督(当時)まで立てた交渉はしかし、いずれも不調に終わった。“球界の盟主”が獲得を公にしながら失敗したことで、一部では「歴史的惨敗」と報じられた。

 在京球団の編成担当はFA選手を買い漁っていた頃の巨人をこう述懐する。

「巨人が交渉して入団を断られると、そのメンツがつぶれることになります。これまでも水面下でFA選手に振られたことはあったでしょうが、表には出さないようにしてきていました」

 ただ、それも限界に来ていたのか、それとも体面にこだわるほどの“1強”状態でなくなったことを踏まえたのか。19年オフの時は従来の手法とは明らかに一線を画していた。

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