裏金問題で岸田総理が内閣から安倍派議員「15人」をクビに……党内から「それ、おかしくない?」党幹部も懸念
「派閥パーティー裏金問題」が思わぬ展開となっている。多額の裏金を組織的に作り出したとして、東京地検特捜部の捜査対象となっている安倍派について、大臣のみならず、副大臣、政務官を含めた政務3役に就く所属議員を全員交代させる、という「安倍派一掃案」が取り沙汰されているのだ。
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【写真】特捜の捜査の行方は!?策謀する党幹部と渦中の安倍派議員たち
不支持率が7割を超えた
岸田文雄総理は、とにかく裏金問題を鎮火させようと必死だ。
連日、報じられている「派閥パーティー裏金問題」について、岸田総理は珍しく自ら動いた。12月7日に報じられた岸田派会長からの退任である。
岸田総理はこれまで、総理の職にありながら、所属する岸田派の会長職も兼務してきた。総理になると所属する派閥からは離脱するというのが、これまでの慣例だが、そうしてきたのは、総理が特定の派閥と結びつき、政策の中立性が崩れないようにするためでもあった。
しかし、岸田総理はそうした慣例を無視する形で、総理就任後も自らの派閥をグリップし、会長職から離れることはなかった。そのため、“派閥から離れるべき”と党内から批判の声が出たこともあった。
なぜ、このタイミングで会長職の退任を決断したのか。
「一連のパーティー問題で、国民の政権や派閥への不信感は底なし沼のようになっています。派閥の会長職に留まり続ければ、総理自身が派閥を積極的に肯定していると受け止められかねない。そこで、派閥を離脱し、中立的な立場からこの問題に取り組む姿勢をアピールしたい、ということなのでしょう。しかし、残念ながらその効果は全くありませんでした。9日と10日に実施した産経新聞とFNNの世論調査によれば、内閣支持率は前回より5.3ポイント減の22.5%、不支持率は7割を超えました。支持率が20%を切ることも現実味を帯びてきています」(政治部デスク)
「安倍派一掃論」が表ざたになった経緯とは
さらに総理が打ち出したのが「安倍派一掃」だった。
「岸田政権には安倍派所属の大臣が4人、副大臣が5人、政務官が6人となっています。安倍派の裏金問題に対処している姿勢を見せるために、この計15人を一斉に交代しようという案です。総理自身のアイデアなのですが、これに対する反発が強まっているのです」
そもそも、なぜ「安倍派一掃」という人事案がメディアで先んじて報じられているのか。
「この案が表に出てきたのは10日以降のことです」
と、自民党関係者が続ける。
「この日に総理は立て続けに党幹部と面会しています。都内のホテルで萩生田光一政調会長と、公邸で森山裕総務会長、宮沢洋一税調会長、茂木敏充幹事長、そして側近である木原誠二幹事長代理です。彼らを含めた党幹部に総理は、“副大臣、政務官を含めて辞めさせたほうがいいのではないか”と話し、聞いた幹部の一人が“総理が安倍派全員を切る意向だ”と内容を漏らし、それがメディアに伝わり、一斉に報道され始めたのです」
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