愛子さまは来春ご卒業 学習院大と学習院女子大の統合は「皇室ブランド」との決別 ヒエラルキーという難題も
女子大は減少傾向にある
だが、そんなOGの感慨を考慮していられるほど、学習院の経営は甘くはなかったらしい。
そもそも全国の女子大の数は、1998年の98校をピークに減り続け、2021年には過去最少の75校まで減少した。女子教育が中心の短大の数も1996年の598校をピークに、2021年には過去最少の315校まで減っている。少子化が進み、女子教育も高学歴志向となり、短大よりは女子大、女子大よりは共学の大学といった機運が、ジェンダーギャップ解消の世論とともに顕在化した側面もあるだろう。
そのせいか、同じ学校法人の中にある大学と女子大学の偏差値には格差が出るようになった。ベネッセの調査によれば、2024年入学予定者の学習院大学の偏差値は58~69、対して学習院女子大学は52~55と、かなり差が開いている。付属の学習院女子高等科から、2023年3月に学習院女子大に進学したのはわずか3名。他の有名私大への推薦入学枠も増えており、「チャンスがあるならもっと良い大学に行きたい」「できれば共学に行きたい」とは多くの生徒たちの本音のようだ。
学習院女子大は時代から取り残されつつあった
そもそも学習院女子大学の改革は、1998年の創設から25年が経つにもかかわらず、進んでいたとは言い難い。この間、例えば他の女子大では、経営学部や建築学部、データサイエンス学部、グローバルビジネス学部といった学部や関連する大学院を新設・改組し、社会で即戦力となる女子学生を育成しようとする流れが相次いだ。昭和女子大学(東京都世田谷区)、日本女子大学(東京都豊島区)、武庫川女子大学(兵庫県西宮市)、京都女子大学(京都市)、安田女子大学(広島市)など、独自色を出す女子大は増えている。こうした女子大は入学志望者数や偏差値も総じて堅調だ。
共学化に踏み切る女子大もある一方で、女子大にこだわる関係者の共通認識は、「日本では女子大にはまだ存在意義がある。ジェンダーギャップ指数が146カ国中125位と著しく低い日本で、女性だけの環境でリーダーシップを養う必要があるはずだ」という点に集約されるように思う。大学とは少し違うが、学習院女子中・高で私が得られたのも、そうした実感であった。
いっぽう同じ学校法人内に大学を持つ女子大の場合は、大学の既存学部との兼ね合いで単独での改革に踏み込みにくい。そんな背景が学習院女子大の改革の歩みを遅らせてしまったようだ。
学習院女子大のように人文学部系しかない女子大は、東京女学館大学が閉鎖、恵泉女学園大学(東京都多摩市)も新規募集を停止するなど厳しい状況にあり、学習院女子大も先細りが避けられない状況であった。学習院大学との組織統合後の将来像は公表されていないが、データサイエンス系の学部の創設を含めた組織改編が行われるとみられている。
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