愛子さまは来春ご卒業 学習院大と学習院女子大の統合は「皇室ブランド」との決別 ヒエラルキーという難題も
学習院大学と学習院女子大学が2026(令和8)年にも統合する。女子大の淘汰は時代の流れだが、この統合は、皇室との縁が深い学習院にとっては、単なる合理化とは別の意味を持つ、と指摘するのは学習院女子部、学習院大学法学部出身の藤澤志穂子氏。『学習院女子と皇室』の著者で昭和女子大学現代ビジネス研究所研究員の藤澤氏は、この件を「学習院が『皇室ブランド』との訣別を決めた証拠」とみるという。以下、藤澤氏の寄稿である。
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「皇族方も通われる学校」であることが、学習院の唯一無二のブランド力であった。だが学習院と皇室のつながりは「風前の灯火」だ。学習院に通う皇族方は現在、天皇家の敬宮愛子内親王のみ。
愛子さまは文学部日本語日本文学科の4年生で、来春3月のご卒業後は、学習院に通われる皇族はゼロとなり、次なる進学予定のお子さまがたも見当たらない。おそらく学習院は「皇室ブランド」を捨て、生き残りを図ろうとしている。その一つが学習院女子大と学習院大学の統合だ、と私は見ている。
「秘密の花園」に男子学生が
学習院女子大は新宿区戸山にあり、学習院女子中・高等科(通称:学習院女子部)と同じ敷地内にある。皇室を支える華族子女の教育を目的に設置された学習院から、女子教育機関を分離して設立された。
戦後、現在の場所に移転。保護者たちが女子高等科卒業後の生徒たちのために、女子だけの教育機関の設置を望んだことで、1950年に開学した学習院女子短期大学がルーツである。
1998年に学習院女子大学に組織変更し、国際文化交流学部が新設された。ことほどさように学習院女子部との縁が深い女子大である。卒業生には、短大時代に常陸宮華子妃、小説家の津村節子さん、美容家の鈴木その子さん(故人)、女子大になってからは三笠宮瑤子女王、女優の安藤サクラさん、シンガーソングライターのChayさんがいる。この中でも津村氏、鈴木氏を除けばみな学習院女子高等科の出身だ。
その学習院女子大が学習院大学(東京都豊島区)に、最短で2026(令和8)年に統合される、と学習院が発表したのは7月のことだった。これを聞いて私が覚えたのは「歴史ある戸山キャンパスに、男子学生が入ってくるのか」という違和感である。
21世紀になろうと、令和に入ろうと、戸山キャンパス内で毎日交わされる挨拶は「ごきげんよう」だった。隣接する都立戸山高校のある男子卒業生は「我々が立ち入ってはいけない世界。生徒さんたちに声をかけるなど滅相もない」と遠巻きにしていたという。
やや大げさではあるが、そんな俗世間と隔絶された「秘密の花園」に、男子学生たちが入ってしまうのか。誤解を恐れずに言えば、反射的にそんな感想を持ってしまったのであった。
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