“裏金派閥パーティー”の元凶は小選挙区制だった…自民党ご意見番は「政党交付金の制度もおかしい。まず党、次に派閥がピンハネ、最後に…」
1988年の「リクルート事件」級の“疑獄”に発展するという声も出てきたが、本当だろうか。FNNプライムニュースオンラインは12月7日、「【独自】岸田首相が岸田派会長を退く意向固める 政治資金問題受け『会長を続けたままで信頼回復できるのか』批判も」との記事を配信し、YAHOO!ニュースのトピックスに転載された。
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【写真】パー券を大量に売り捌き「9000万円裏金」を作っていたとして名前が上がっている「安倍派4回生議員」 収入を過少申告していた各派の長たちも
この日は共同通信も「安倍派『裏金』9千万円超議員も 特捜部、還流の経緯捜査」との記事を配信し、YAHOO!ニュースのトピックスに転載された。担当記者が言う。
「自民党の各派閥は、政治資金パーティーを開きます。その際、所属議員はパーティー券を売りさばくよう命じられ、ノルマも科せられます。ところが、ノルマを超えた売上は議員にキックバック。おまけに政治資金収支報告書には記載せず、裏金にしているという実態が明らかになってきました。刑事告発も行われ、東京地検特捜部が捜査を始めています」
国民の強い批判の声を受け、岸田文雄首相が自身の派閥の会長を退任すると報じたのがFNNの記事。安倍派全体での裏金は5年間で1億超、派の中には5年間で9000万円の裏金を作った議員がいる、と関係者の取材を元に報じたのが共同の記事だった。
この問題で安倍派の塩谷立座長は、11月30日、キックバックについて「あったと思う」と発言。すぐに撤回したものの、かえって信憑性が増してしまった。
「塩谷さんは1990年初当選のベテラン議員です。記者との受け答えの様子を動画で確認すると、普通に本当のことを喋ってしまったと見るのが自然でしょう。実際、キックバックの手法などを考えると、昨日今日に始まった“裏ワザ”とは思えません。塩谷さんのようなベテラン議員にとっては、見慣れた光景という可能性があります」(同・記者)
中選挙区と小選挙区
そこで“自民党のご意見番”として知られる元衆議院議員の深谷隆司氏に取材を依頼した。深谷氏は1935年生まれで、現在は88歳。1972年に初当選し、郵政大臣、自治大臣、通商産業大臣を歴任した大物議員だったが、2009年の衆議院選挙で落選。12年に引退を表明した。
政治資金パーティーによる裏金作りをどう見ているのか、深谷氏は「中選挙区制と小選挙区制の違いが如実に表れました」と言う。
「私たち一家は旧満州のハルピンから無一文で引き揚げ、都営住宅で生活を再スタートさせました。親父は靴職人だったので、私には政治家としての地盤もカバンも看板もありません。それでも国会議員になれたのは、必死で票とブレーンを集め、資金援助をしてくれる企業を見つけたからです。当時は企業の政治家個人に対する政治献金が認められていました。中選挙区時代の私の選挙区は旧東京8区で、中央区、文京区、台東区。ここで数百社の企業から支援を受け、月に2万円の会費を負担してもらいました。年間にすると数千万円の政治資金を自前で確保していましたから、パーティー券を苦労して売ったことはありません」
現在のように政治資金パーティーが盛んに開かれるようになったのは、1994年に小選挙区となり、政党交付金制度が95年に始まったことが要因だという。
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