安倍派座長の驚きの「公開自白」で特捜部はビックリしつつも捜査を一気に進めることに
13日以降に激動
東京地検特捜部が捜査を進める、自民党の清和政策研究会(安倍派)をめぐる裏金問題。すでに会計責任者らへの聴取は行われており、12月13日の臨時国会の会期末を待って、国会議員本人への聴取に乗り出す方針とされる。捜査したい現場と、慎重な上層部といった構図で、内部での綱引きが存在するのが特捜部の政界捜査の常なのだが、今回は超ド級の「公開自白」が一気に事態を進めたという。その経緯についてレポートする。
「実務的なことはともかくとして、今回の捜査指揮は、これまで特捜部長や東京地検の次席検事を歴任した森本宏最高検刑事部長がとっていると言ってよいでしょう。特捜部長時代に日産のカルロス・ゴーン事件やIR汚職事件を手掛け、フロッピーディスク改ざん事件などで大いに傷つき独自捜査に着手できなかった特捜検察の威信を回復することに腐心してきた人物です」
と、社会部デスク。タブーなく政財官界に切り込んできた森本氏が今回ターゲットに設定したのが、自民党の派閥による政治資金問題だった。
今それをやる意味
「特捜部が進める政界捜査に関しては検事総長も含めた幹部の会議で承認を得ることとされていますが、会議前から特捜部長・東京地検次席と検事正・東京高検検事長との間で細かな点を擦り合わせて行くことになります」(同)
何でもかんでもゴーサインが出るわけではなく、時代性やトレンド、今それをやる意義が問われることになるという。
「特捜部にはさまざまな情報が舞い込み、それを全部やっていると組織としても持たないので、優先順位をつけるために“今それをやる意義”が問われるわけです。ただ、時の政権がひっくり返って日本全体がとんでもない方向に行ってしまいそうな案件にはストップがかかるようで、過去にそういう例があったと先輩から聞いたことがあります。たいてい上のポストに行くほど政界捜査には積極的でなくなるとされていて(笑)、現在の甲斐行夫検事総長も例外なくそのようなスタンスだったということです」(同)
そのため、しばらくは捜査の“落とし所”を探る動きが法務検察内で続いていたとされる。
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