趣里は「身体表現のレベルが半端じゃない」 朝ドラのレジェンド・三林京子が絶賛
「恵梨香ちゃんは肝が据わっていて芯がある」
三林がテレビデビューをしたのは73年に菊田が亡くなった後のこと。75年放送のNHK大河ドラマ「元禄太平記」で間者のおとき役を演じ、ゴールデン・アロー賞放送新人賞を受賞した。
以降、幼い頃から親しんだNHKで様さまざまな作品に出演し、名バイプレイヤーとして鳴らしてきた。近年で特に注目されたのは、2019年放送の朝ドラ「スカーレット」での女中・大久保のぶ子役だ。戸田恵梨香(35)演じるヒロイン・川原喜美子を時に意地悪だと思えるほど厳しく指導する役が大ハマリし、朝ドラファンから喝采を浴びた。
「恵梨香ちゃんは肝が据わっていて芯がある、とってもいい女優。私はそんな恵梨香ちゃんに辛く当たる役を演じたわけですが、脚本の段階でなるべく、物語の途中でいい人に見えてしまうようなシーンは削ってもらいました。最初は徹底的に嫌なヤツだけれど、最後になってから“本当はヒロインのことを考えてあげていたんだ”と優しさが分かる方が、心が動かされるからです」
三林によれば、これは現実の世界でも同じことではないかとのことで、
「今の世の中って、厳しいけれど本当は優しくて、見えないところで相手のことを考えてあげている人が少なくなったと思うんです。『スカーレット』の大久保さん役が当たったのは、そういった存在への渇望があるからではないでしょうか。本来、師匠とは厳しい存在で、その下で修業するから成長があるのです。今は先輩から“はい、もういいよ”って言われて、そのまま何もしない若い人が多すぎます。“いい”わけがないのですけどね……」
身体表現、鋭い感性、歌唱力
今の生ぬるい世の中に苦言を呈する一方、「ブギウギ」で共演する趣里のことは手放しで大絶賛だ。
「彼女はすごい。まず、バレエの基礎がしっかりとしており、踊りを始めとするさまざまな身体表現のレベルが半端じゃない。その上で女優にとって大切な鋭い感性を持っています。さらに、歌手ではないのに歌唱力まで備わっている。日曜劇場の『ブラックペアン』(TBS系)で初めて見たのですが、ほとんどセリフがない中でも目や表情だけでお芝居をしており、驚きました。それ以降、出演作をチェックしてきたのです」
今回、共演するにあたって趣里に初めて「あんたのファンやねん」と伝えたら、「うれしいです」と喜んでくれたとか。
「私は児童劇団に通っていた頃からNHKが大好きなんです。昔は遊び場だと思っていましたし、今でも局に入るたびに胸が高鳴ります。長く活躍されている女優は一旦売れたからといって勘違いせず、礼儀を大切にしている人ばかり。私もまだまだ出続けられたらうれしいですね」
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