「そこじゃないよ岸田」 派閥トップを退任してもまったく支持されない政権の命運

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まったく評価されていない

 問題は遅きに失したのみならず、今回の離脱の判断がまったく評価されていないことだ。

「永田町だけではなく世論としても、“何を今さら”といった雰囲気のようですね。離脱しなかったとしても“なぜしないの?”と言われていたでしょうから、いずれにせよ難しい判断だったとは思います」(同)

 問題発覚から「決断」までのスピードは特段遅いものではないだろう。が、そもそも国民が求めているのは、現時点でできる限り自ら真実を明らかにすること、あるいは再発を防止することであって、パーティー自粛、派閥離脱云々というのは、「今さら」あるいは「そこじゃないよ」と受け止められるのは目に見えていたはず。そのあたりの勘所が極めて悪いのが現政権であろう。

 政権側の思惑とは関係なく、特捜部による捜査は13日の臨時国会閉会後、一気に進むものと見られている。

「その日を待たず、安倍派5人衆らの裏金疑惑が報じられ、松野博一官房長官や高木毅国対委員長らの更迭が確定的。役職を離れればさすがに身柄まで取らないのではないかとも言われています」(同)

“政治も岸田も信用できない”

「とはいえ、特捜部が早めに結論を出してくれた方が政権には打撃が少ないとの声も官邸側からは聞こえてきました。結論が出ない中で“◯◯氏、聴取”などといったニュースが検察のリークによってメディアを賑わせることで、政権にはボディブローにようにきいてくるからです」(同)
 
 どうやら、一連の疑惑捜査は岸田政権を直撃してはいるが、一方で、当人たちはまだ支持率回復と反転攻勢の機会をうかがっているようだ。

「実際、今回の捜査でどういった結果になれば政権が浮上できるかについて、官邸はあれこれシミュレーションをしているようです。キックバックとは無縁の人間が閣内に加わったとしても、世論が岸田政権を支持することになるかはまた別の問題。逆に“政治を信用できないし岸田も信用できない”との声が高まることにつながり、結果的に政治不信の責任をとっての内閣総辞職が現実味を帯びてくることと思います」(同)

 安倍派所属の政務3役の計15人を全員交代させる可能性が浮上する中、人心一新で一度火のついた世論の不信感を払拭するまでに至るだろうか。差し当たって、岸田首相が内閣総辞職を念頭に置いているということはないようだが、現状に対して相当な危機感を抱いているとされる。この先、1つのミスも許されないフェーズを迎えたことは間違いない。

デイリー新潮編集部

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