来年7月の都知事選を意識し始めた小池都知事 その陰で都庁の“ブラック化”が進んでいる
向かうところ敵なし
都政関係者は「小池知事も最初は、自民党と一緒にやることに前向きではなかったようですが、党都連の萩生田光一会長と会談し、最後は相乗りという形に落ち着きました。自民党は現在の支持率から言っても、来年の都知事選で(小池氏の)対抗馬を立てることは難しく、相乗りにならざるを得ないのでは」と解説する。
小池氏と自民党都連との確執は根深い。
小池氏は2016年、自民党都連と対立する形で都知事選に出馬し、初当選を果たした。しかし、昨年から今年にかけて「都議会のドン」と呼ばれた内田茂・自民党都連元幹事長と「二代目ドン」の高島直樹・都連幹事長が相次いで死去。さらに自民党出身で特別区長会会長も務めた山崎孝明・元江東区長も4月に死去し、小池氏が対峙してきた政治家が次々に鬼籍に入っている。
小池氏をよく知る都政関係者はこう話す。
「今の小池さんは、向かうところ敵なし、という感じです。自民党も、重鎮が相次いで死去し、まとめ役がいなくなっています。都議会に相談するよりも、萩生田さんに直接交渉すればいいと考えているのでは」
続けてこの関係者は、
「仮に不安があるとすれば、健康管理だけですね。今年も『風邪』で休むことがありました。さすがに彼女も71歳ですから」と話す。
続投を期待されていない
仮に出馬すれば3選は確実――こう目される小池氏だが、その「部下」からは必ずしも続投が期待されているわけではないようだ。複数の現役職員らによると、庁内はむしろ諦めに近いムードも漂っているという。
「一部の取り巻きが意思決定し、肝心なことは担当局が後で知るのです。018サポートや高校授業料、学校給食の無償化などはその典型です」
都庁の中堅職員の一人はこう明かす。
小池知事と言えば、職員に午後8時の完全退庁を促したり、ワーク・ライフ・バランス(仕事と家庭の両立)を自分流にアレンジして「ライフ・ワーク・バランス」と言い換えてみたりと、部下の働き方に気を配る素振りを見せてきた。
しかし実態はというと、
「小池知事に近い幹部は日中、執務室の外に出かけていて捕まらないので、ブリーフィングが始まるのが定時を過ぎて、夜からということが常態化しています。リスケも少なくありません」(同)
また、小池知事はコロナ禍で平日の公務とは別に、週末に幹部職員を集めて都政の課題について「勉強会」を重ねている。コロナ対応で緊急に意思決定をしなければならない事情はあったとはいえ、週末に指示を受けて、その回答を一両日中に求められる部下としては、「ライフ」に気を配る余裕などあったものではない。
都庁の若手・中堅の辞職が相次いでいるのも、小池都政になってから目立つ現象だ。
「今年に入って、政策企画局で多くの職員が退職しました。国で言えば『官房』に当たり、知事の仕事を支える部署です。上司の働き方を見て『ばかばかしい』『やっていられない』と思っているのかもしれません」(同)
都知事選を意識してか、「スピード感」を持って結果を求め続ける小池知事。自身の働き方が変わらない限り、3選後に都庁の「ブラック化」は加速するかもしれない。