来年7月の都知事選を意識し始めた小池都知事 その陰で都庁の“ブラック化”が進んでいる

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空前の「バラマキ」

 来年の都知事選の日程が7月7日に決まり、小池百合子都知事の去就が再び、注目を集めている。

 東京都選挙管理委員会は11月29日、任期満了に伴う都知事選の告示日を来年6月20日、投開票日を7月7日と発表した。小池氏は現時点で出馬の意向を明らかにしていないものの、都庁内では3選が確実と言われており、都庁幹部もそれを「既定路線」として動いている状況にある。

 実際、小池知事が直近で発表した子育て世帯の負担軽減の取り組みも、

「来年の選挙を意識している」(幹部)

 との評が専らだ。

 小池知事は5日、都議会の所信表明で、高校授業料の無償化と学校給食の負担軽減に取り組む考えを明らかにした。報道陣の質問には「無償化の流れをしっかりと確保する」とコメントし、すぐにマスコミも飛び付いて報道している。

 子育て支援を巡っては1月、小池知事は年頭の職員向けあいさつで、子ども1人当たり月額5000円を配る「018サポート」をぶち上げ、来年1月に年額の6万円がまとめて支給される予定だ。子育て世帯から歓迎される一方、政策の所要額は年間1200億円に上り、少子化対策としての実効性も見えないことから、都庁内では疑問の声も多い。小池知事の側近である政策担当特別秘書は、かつて東京都副知事や財務局長を歴任し、厳しい予算査定で知られた村山寛司氏。その姿勢とは真逆とも言える空前の「バラマキ」に現役の職員らが困惑するのも無理はない。

帰国便を1便早めた

 小池知事は今回の子育て世帯の支援について、「スピード感を持って子育て世帯を全力でサポートしていく」と説明。報道陣には「国に先行する」とも強調し、岸田政権の動きの鈍さを印象付けている。

「決める時は決める。頼もしい女性管理職です」――。

 12月3日、江東区。小池知事が出張先のUAEから帰国するや、区長選に立候補していた「元部下」の応援演説に直行した。元部下とは、東京都庁を退職したばかりの大久保朋果氏。関係者によると、小池知事はこの演説に入るため、UAEからの帰国便を1便早めたという。

 大久保氏は、自民党と公明党、国民民主党に加え、小池知事が立ち上げた都民ファーストの会が推薦を出しており、事実上、各党が「相乗り」する構図だ。ただ、本人は記者会見で、「小池知事から背中を押された」と説明し、小池カラーを前面に押し出している。

 この街宣には、同じく都庁出身の高際みゆき豊島区長も呼び寄せ、小池知事は両脇に「元部下」の女性2人を従えて上機嫌だった。

 今回の江東区長選の発端になったのは、木村弥生区長(当時)が4月の区長選で違法なネット広告を掲載した問題だ。ただ、その後に自民党の柿沢未途衆院議員の関与が判明し、更に国政では自民党の派閥の「政治とカネ」の問題が浮上。自民党にとって強い逆風が吹く中、小池知事に抱き着く格好になった。

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